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阿部岳史:幽玄
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2013年 7月 18日

sign of ghost #02 / 2012 / wood cube
(c)Takeshi Abe Courtesy of hpgrp GALLERY TOKYO

H.P.FRANCE WINDOW GALLERYより、阿部岳史「幽玄 - Sign of Ghost -」を開催いたします。
1977年生まれの阿部岳史は、これまで一貫して「人の記憶」のような曖昧で不鮮明なものを小さな木材の立方体を配列する手法によって表現してきました。
一見、機械的な作風が醸し出すドライな作品の印象とは対照的に、観賞者の個人的な記憶や感覚をそっと揺さぶるような暖かみを持つことが、阿部作品の特徴と言えます。
「平面と立体」「具象と抽象」「現実と記憶」の狭間を行き来しながら紡ぎ出される、阿部の新たな作品を是非この機会にご高覧ください。

[作家コメント]
私は「記憶」をテーマに作品を作っています。
どんな現実の風景よりも、記憶の中で思い描く風景の方が美しいと信じています。その美しさのポイ ントは情報量の少なさだと考えています。
私達は何かを観て、記憶を巡らす時、 映像よりもカラー写真、それよりもモノクロ写真と、情報量が少ない方が自身の想像力で補う比率が高くなり、そこから思い出す風景は美しくなると思います。私はそのように脳が何かを思い出す時の「不完全な解像度ゆえの美しさ」を作品上で再現したいと考えています。そういった理由からキューブを使い、本来の画像よりも不鮮明な画面を構成しています。単にモザイク画ではなく立体のキューブを用いているのは、観る角度によって作品の像が鮮明になったり不鮮明になったりすることが、記憶の中を探ったり、突然思い出すプロセスに似ているからです。

[作家プロフィール]
阿部岳史
1977 東京生まれ。現在東京在住。
2000 東北芸術工科大学 美術科 彫刻コース卒業
2003 同校研究生修了

個展
2011 幽玄 / アートフロントギャラリー
2009 Project N 37th 阿部岳史展 / 東京オペラシティアートギャラリー
2008 ProArtibus / フィンランド
2007 阿部岳史展 vol.5 / トタンギャラリー 
2005 阿部岳史展 vol.4 / 遊工房ギャラリー

グループ展
2012 2.46 and Thereafter / ワシントンD.C.
2011 「こちらへ、あちらへ」/ 団・DANS Exhibition No.8 ドイツ文化会館
VOCA展2011 / 上野の森美術館
2010 「生まれるイメージ2010」/ 山形美術館
3331 SECRET AUCTION / 3331 ARTS CHIYODA
2008 「拡張する界面」/ アトランティコギャラリー 
Who\'sNext展 / MUSEUM at TAMADA PROJECTS 
The House展 / 団・DANS Exhibition No.4

レジデンス
2008 フィンランド / ProArtibus

受賞歴
2004 第10 回リキテックスビエンナーレ入選
2005 トーキョーワンダーウォール2005 入選
2006 ワンダーシード2006 入選
2006 ジーンズファクトリー アートアワード2006 優秀賞

コミッションワーク
JMC (東京)
富士の湧水 第三工場 (山梨)
ロイヤルパークホテル・ザ・京都 (京都)
大阪府立精神医療センター (大阪)
裏磐梯高原ホテル (福島)
パークシティ武蔵野桜堤 (東京)


全文提供:H.P.FRANCE WINDOW GALLERY
会期:2013年7月19日(土)~2014年8月22日(月)
時間:(月~土)11:00 - 21:00/日・祝日:11:00 - 20:00
会場:H.P.FRANCE WINDOW GALLERY
最終更新 2013年 7月 19日
 

編集部ノート    執筆:田中みずき


《A German Boy》(部分)
ウッドキューブ|2011|1000 × 803 × 27 mm
Copyright© Takeshi Abe
画像提供:アートフロントギャラリー

   旧来の一点透視図法を否定し、様々な方向から観たものを一枚の平面に収めたのが「キュビズム」。しかし、もしキュビズムの絵を様々な方向から観てしまったら、そのコンセプトが揺らぎはしないだろうか。
    そんな問いを持ちたくなるのが、今回の阿部の展覧会。色づけされた小さなキューブが白い壁に並ぶ様を観ていると、ぼやけた輪郭で人物の横顔等が浮かんでくる。網点といわれる極小のドットを組み合わせて生み出される印刷の仕組みと一緒だ。何処から観てもおぼろげな姿しか現れず、しかし真横や斜めからでは、やはり正面から観たものとは違うようにも観えてもきたりして…。
   立体と平面との関係を再考させてくれる作品、現場で様々な方向から眺めて確かめたくなる展示である。


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