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フィオナ・タン:エリプシス
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2013年 7月 08日

《Rise and Fa(ll ライズ・アンド・フォール)》 2009年
HD インスタレーション 21分
作家蔵
© Fiona Tan
Courtesy of the Artist and Wako Works of Art, Tokyo

フィオナ・タンは1966年、インドネシア・ブカンバル(スマトラ島)生まれ、現在アムステルダム在住の映像作家です。中国系の父とオーストラリア人の母を持ち、少女時代をオーストラリアで過ごした後にヨーロッパに移り住んだという経歴から、多様な文化圏を往来しながら、その複雑さや多層性を自らの内に認める作家でもあります。インドネシアでの反中国人暴動によって離散した自身の家族を追うドキュメンタリー・フィルム《May You Live in Interesting Times(興味深い時代を生きますように)》(1997)は、彼女の文化的多元性を象徴するものとして注目を集めました。 フィオナ・タンの映像表現は、イメージを断片にして再び構成し直すことで、本質や事実にどうしても届かないもどかしさや曖昧さを創出しています。写真やヴィデオに映ったひとつのイメージは揺るぎないのに、事実とフィクションの間を往来する糸が織りなす物語が、見る者にさまざまな憶測を要求してくるのです。展覧会「フィオナ・タン|エリプシス」では、初期を代表する《Linnaeus’ Flower Clock(リンネの花時計)》(1998)(金沢21世紀美術館蔵)から近作《Rise and Fall(ライズ・アンド・フォール)》(2009)、《Seven(セブン)》(2011)まで、映像、写真、インスタレーション作品を紹介し、不連続な時間軸上を行き交う視線や声が共鳴する詩的で静謐な表現を展観するものです。

[作家プロフィール]
フィオナ・タン Fiona TAN

当初、記録フィルムを用いた作品群で知られたフィオナ・タンは、見るものと見られるものを探求し、過去の植民地時代の真実を問いただしてきた。いろいろな作品において肖像の可能性を探求しているが、その芸術・歴史・社会学的文脈を分析しながら、肖像の対象者に対する我々の認識が時代と共に変遷していくことを示唆している。最近の作品では、我々の記憶と心象との関係や不正確な記憶が創造力を刺激することに注目する。全作品を通じて、タンは旅行者や探検家を動機づけるものに関心を示している。我々がいかに自分自身を描写するか、またどんな過程を経て我々は他人の描写を理解するかという問いかけを繰り返し、映像の背後やその限界を超えて現れてくるものを明らかにする。
タンはドクメンタやサンパウロ、イスタンブール、シドニーでのビエンナーレ、横浜トリエンナーレなど多くの国際展に出品している。2009年のヴェネチア・ビエンナーレではオランダの代表となった。彼女の作品はロンドンのテート・モダン、アムステルダム市立近代美術館、ニューヨークのニュー・ミュージアムなど世界の多くの公共及び民間のコレクションに収められている。最近では個展「ライズ・アンド・フォール」がバンクーバー美術館、スイスのアールガウ美術館、ワシントンのサックラー・ギャラリー、ケベック 大学モントリオール校のアート・ギャラリーに巡回展示されている。

関連書籍出版

『フィオナ・タン|エリプシス』(2013年8月上旬発売予定)
価格:2,300円(予価)
寄稿:松井みどり(美術評論家)
オクウィ・エンウェゾー Okwi Enwezor(キュレーター、批評家、詩人)
黒澤浩美(金沢21世紀美術館 キュレーター)
デザイン:林琢真(deco design)
発行:日東書院


全文提供:金沢21世紀美術館
会期:2013年8月3日(土)~2013年11月10日(日)
時間:10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
休日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日。ただし、8月12日は開場)
会場:金沢21世紀美術館
{extra title="フィオナ・タン:エリプシス" start="2013-8-3" end="2013-11-10" place="金沢21世紀美術館" publish="2013-7-8" text="金沢21世紀美術館(石川県金沢市)にて8月3日より開催のフィオナ・タンの個展。" image=uploader/files/exh20130708001-1.jpg artist="フィオナ・タン"}

《Rise and Fa(ll ライズ・アンド・フォール)》 2009年
HD インスタレーション 21分
作家蔵
© Fiona Tan
Courtesy of the Artist and Wako Works of Art, Tokyo

フィオナ・タンは1966年、インドネシア・ブカンバル(スマトラ島)生まれ、現在アムステルダム在住の映像作家です。中国系の父とオーストラリア人の母を持ち、少女時代をオーストラリアで過ごした後にヨーロッパに移り住んだという経歴から、多様な文化圏を往来しながら、その複雑さや多層性を自らの内に認める作家でもあります。インドネシアでの反中国人暴動によって離散した自身の家族を追うドキュメンタリー・フィルム《May You Live in Interesting Times(興味深い時代を生きますように)》(1997)は、彼女の文化的多元性を象徴するものとして注目を集めました。
フィオナ・タンの映像表現は、イメージを断片にして再び構成し直すことで、本質や事実にどうしても届かないもどかしさや曖昧さを創出しています。写真やヴィデオに映ったひとつのイメージは揺るぎないのに、事実とフィクションの間を往来する糸が織りなす物語が、見る者にさまざまな憶測を要求してくるのです。展覧会「フィオナ・タン|エリプシス」では、初期を代表する《Linnaeus’ Flower Clock(リンネの花時計)》(1998)(金沢21世紀美術館蔵)から近作《Rise and Fall(ライズ・アンド・フォール)》(2009)、《Seven(セブン)》(2011)まで、映像、写真、インスタレーション作品を紹介し、不連続な時間軸上を行き交う視線や声が共鳴する詩的で静謐な表現を展観するものです。

[作家プロフィール]
フィオナ・タン Fiona TAN

当初、記録フィルムを用いた作品群で知られたフィオナ・タンは、見るものと見られるものを探求し、過去の植民地時代の真実を問いただしてきた。いろいろな作品において肖像の可能性を探求しているが、その芸術・歴史・社会学的文脈を分析しながら、肖像の対象者に対する我々の認識が時代と共に変遷していくことを示唆している。最近の作品では、我々の記憶と心象との関係や不正確な記憶が創造力を刺激することに注目する。全作品を通じて、タンは旅行者や探検家を動機づけるものに関心を示している。我々がいかに自分自身を描写するか、またどんな過程を経て我々は他人の描写を理解するかという問いかけを繰り返し、映像の背後やその限界を超えて現れてくるものを明らかにする。
タンはドクメンタやサンパウロ、イスタンブール、シドニーでのビエンナーレ、横浜トリエンナーレなど多くの国際展に出品している。2009年のヴェネチア・ビエンナーレではオランダの代表となった。彼女の作品はロンドンのテート・モダン、アムステルダム市立近代美術館、ニューヨークのニュー・ミュージアムなど世界の多くの公共及び民間のコレクションに収められている。最近では個展「ライズ・アンド・フォール」がバンクーバー美術館、スイスのアールガウ美術館、ワシントンのサックラー・ギャラリー、ケベック 大学モントリオール校のアート・ギャラリーに巡回展示されている。

関連書籍出版

『フィオナ・タン|エリプシス』(2013年8月上旬発売予定)
価格:2,300円(予価)
寄稿:松井みどり(美術評論家)
オクウィ・エンウェゾー Okwi Enwezor(キュレーター、批評家、詩人)
黒澤浩美(金沢21世紀美術館 キュレーター)
デザイン:林琢真(deco design)
発行:日東書院


全文提供:金沢21世紀美術館
会期:2013年8月3日(土)~2013年11月10日(日)
時間:10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
休日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日。ただし、8月12日は開場)
会場:金沢21世紀美術館
最終更新 2013年 8月 03日
 

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