| EN |

Saori Miyake:Abstract dislocation
Events
Published: July 02 2013

 

三宅の制作手法はフォトグラムという、モノクロの印画紙に手描きの透明紙に描いた原稿を焼き付けるものです。元絵は等倍の完全な手描き原稿を作り、それにオブジェなどをのせて感光させ現像します。

モチーフとなるのは、三宅が旅先の蚤の市で買い求めた古いスナップや友人らの何気ない写真です。はっきり言葉にできない、なにか心の琴線に触れた写真を手描きで描きおこすことで、写真の証拠としての意味を消失します。そのかわりに「絵」の虚構世界がたちあがるのですが、一方で物理的に筆を使った手描きの筆跡は、すべらかな印画紙に焼き付けられることで、手跡の強さを消失するのです。 実際作品に近寄って見ると確かに「絵」であるのですが、観るものは「これはモノクロ写真だ」とつい、思いたがるようで、三宅が描いた「絵」という二次元の虚構は、絵の具の絵画よりも強引に「仮想現実」と錯覚してしまうようです。それは観る人それぞれの記憶の不確かさ、曖昧さを浮かび上がらせます。

また情報が溢れかえり移動や思考のスピードを上げた都市の生活では、自分自身の体験や記憶が脅かされるように思うことがあります。その過剰で危ういような感じの中に、三宅は流れ去る時間や空間の中から、瞬間でもあり永遠でもある「美」とでもいうようなものを出現させたいと追い求めているように思います。

今回は新作20点前後を同サイズの小品を額の無い展示でご覧頂きます。 また同時開催の大阪駅のホテルのアートフェア「ART OSAKA」では旧作も含めた個展を展示いたします。

実際の印画紙の物質感を観ずしてはなかなか伝わらない感覚です。両会場是非併せてご高覧ください。

なお本展はART OSAKA2013でも同時開催で三宅砂織の個展となります。 是非合わせてご高覧下さいませ。


全文提供:FUKUGAN GALLERY
会期:July.3 - Jluy.20, 2013
時間:13:00-19:00
Close : Sun. Mon. National holiday
会場:FUKUGAN GALLERY
Last Updated on July 03 2013
 

Related Articles


| EN |