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回路の折り方を しかし、あとで突然、わかる道順を
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2013年 5月 09日

小林礼佳 Ayaka Kobayashi 無題 H2.5 × W4.5 × D2.5cm, Mending tape, Mirror sheet, 2012

このたび KAYOKOYUKI は、大阪市此花区にオープンしたばかりのギャラリー スペース、the three konohana にて、連続シリーズ『SLASH』を開催致します。

第 9 回目となる『SLASH/09 - 回路の折り方を しかし、あとで突然、 わかる道順を -』(6/7-7/14)では、 小林礼佳(Ayaka Kobayashi)、 斎藤玲児(Reiji Saito)、 藤田道子(Michiko Fujita)の 3 人のアーティストをご紹介します。

小林礼佳は、 2013 年に武蔵野美術大学大学院を修了し、GALLERYb.TOKYO』(東京)での個展や、若手ギャラリーの集合企画展『COVERED TOKYO: October, 2012』などで、物質と言葉を組み合わせた挑戦的な作品を発表し続けています。今年行われた修了制作展においては、25 平米ほどの白い空間に \"く\" の字型の壁を配置し、自身で紡ぎだした言葉を貼付けていきました。鑑賞者は、その始まりと終わりの不明瞭な途切れ途切れの文章を探しながらさまよい、一瞬ホワイトアウトし かける視点を、ふいに現れる言葉により現実につなぎ止められるような、複雑な感覚に陥ります。
斎藤玲児は、2010 年に武蔵野美術大学を卒業し、〈#1〉~〈#14〉までの映像作品を制作しました。最近では 2013 年に『山 手 83』(神奈川)で個展を開催し、最新作となる〈#13〉、〈#14〉を発表しました。日常的に撮影し続けている写真と映像を素材に、iMovie を使ったアナログに近い手法で切り貼りしていきます。かつて記録された連続的な事象は、音も図像も感情も一度バラバラになり、編集される時の斎藤の身体を通して新たに再構成されます。普段の生活の中で出会った人物、風景、出来事を扱いながらそこから一定の距離を保ち、あくまで絵の具やキャンバスなどの物質を扱うように PC は操作され、決定されます。
藤田道子は、2004年に東京造形大学版画コース研究生を修了し、現在同大学にて非常勤講師として従事しています。シルク スクリーンの技法を使い、紙だけでなく布や鏡などの素材にもプリントする他、様々な物質を扱いインスタレーションします。
薄い透明色のインクを使って、細い線の重なりによって描く幾何学模様や、木材やガラスに糸やリボンを組み合わせた作品など、モノがそこに存在することで生まれる光の反射や影などの自然現象を生み出します。『Gallery惺SATORU』(東京)や『Ryumon coffee stand』(東京)などで個展を開催しています。

今年発行されたガーディアン誌が、「私たちの時間の感じ方は感情によって変化する」と報じました。脳の時間の知覚には、それまで経験した記憶や年齢などに対する相対的な情報と、その瞬間に感じている怒りや恐怖、親しみや愛しさなどの感情に対する注意のプロセスも同時に作用しているという研究結果でした。私たちには平等に一定の時間が与えられていながら、体験や経験によって、感じることのできる時間は伸び縮みしてしまうのです。
3人のアーティスト達は、それぞれが全く異なる手法によって素材やメディアを扱い、日常に複雑に絡み合う現象の瞬間を作 品に収めています。もし彼らの作品に潜んでいる回路を辿ることで、それまで感じ得なかった感情や感触を疑似体験できたなら、相対的に感じるのみでは行き当たらない、リアルタイムな経験による個々の新しい回路を発見できるのではないでしょうか。

Opening Reception: 6.7.Fri.,17:00- (18:00-Talk show)


全文提供:the three konohana
会期:2013年6月7日(金)~2013年7月14日(日)
時間:12:00 - 19:00
休日:月
会場:the three konohana
最終更新 2013年 6月 07日
 

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