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三浦洋子:Recent Works ‒VOCA 展出品作を中心に-
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2012年 12月 21日

Untitled  アクリル絵具、グラスオーガンジー、ステンレス、パネル
200 x 120 cm (各) 2012

三浦洋子の作品の魅力は、視線が宙を漂い、中性的で幻想的な空気感を持つところにあります。 作品の構造が、パネルに薄い布(オーガンジー)を重ね、さらに絵の具を重ね、モアレ現象を生じさせる事ことから、よくモダニズム絵画の文脈で語られます。 しかし作家の意識としては、様式主義に則った絵画の前進というより、 むしろ、日常の中で体感する感覚や風景の記憶を、画面の中で再現し(それがとても繊細で、禁欲的な表現なのが特徴です)見る人の感覚と交差することを試みています。 多くのものと情報に囲まれている現代社会では、無意識のうちに、繊細で豊かな感覚を見失ってしまいますが、三浦洋子の作品には、その感覚を呼び起こす力を秘めています。 本展では、VOCA展2012に出品した2x1.2mの大作を中心に構成します。 関西では初めてご覧頂く機会でもあり、モアレの知覚が、身体的スケールで体験できるのも見所です。

[作家コメント]
ステンレス板にオーガンジーを重ね、色彩を何層にも重ねています。全体的にはぼんやりとした空間のように見えるが、細部に目を向けると、オーガンジーの重なりによるモワレの錯視とステンレス板の鈍い反射、アクリル絵具の薄い膜の重なりであることが分かると思います。絵があることとないことの境目が曖昧な作品になっているのではないかと思います。子どもの頃、カーテンの揺れる影が色々なものに見えたり見えなくなったりするのを楽しんで、いつまでも眺めていた記憶があります。私が何かを見るとき、光を知覚してものがあると認識し、さらにそのものが様々な意味を持つものであると意識する。それに今までの知識や経験から個人的な感覚や感情のようなものが呼び起される。そして、これまでもこれからも存在するであろう「私」という錯覚が深まっていくのではないだろうかと思います。私たちは限定された知覚の世界で生きている。見えたものが本当に存在するのか、または「本当に存在する」ということはあるのか、と考えると深い霧の中で立ちつくしているような気分になります。それでもたしかに今、私が感じているということはあり、また絵の表面にたゆたうような表情を見出したいという感覚があります。ものを見たときにその質感や色から受ける感覚が、そのもの自体とは別のとらえがたい感覚を呼び覚ますような瞬間を期待して制作をしているように思います。

[作家プロフィール]
三浦洋子

1974 神戸市生まれ
2000 京都市立芸術大学大学院 修了

個展
2013 ギャラリーヤマグチ クンストバウ/大阪
2009 ギャラリーヤマグチ クンストバウ/大阪
2008 ギャラリーヤマグチ クンストバウ/大阪
2007 ギャラリーヤマグチ クンストバウ/大阪
2005 ギャラリーヤマグチ クンストバウ/大阪
2004 ギャラリーヤマグチ クンストバウ/大阪
2004 海岸通ギャラリーCASO/大阪
2000 ギャラリーそわか/京都
1999 ギャラリーそわか/京都
グループ展
2012 VOCA展 2012 上野の森美術館/東京
2011 越野潤/三浦洋子 subtleness、ギャラリーヤマグチ クンストバウ/大阪
2006 Art Court Frontier 2006 #4 アートコートギャラリー/大阪
2003 「絵画の証」 海岸通ギャラリーCASO/大阪
2000 Towards Utopia “New Generation ’00” 海岸通ギャラリーCASO/大阪
2000 info ギャラリー 三菱電機本社ビル/東京

関連イベント

アーティスト・トーク 1 月 12 日(土) 16:00 ̶ 17:00
聞き手:尾崎信一郎氏(鳥取県立博物館副館長)
レセプションパーティ 1 月 12 日(土) 17:00 ̶


全文提供:ギャラリーヤマグチ クンストバウ
会期:2013年1月12日(月)~2013年2月2日(日)
時間:11:00̶18:00
休日:日・月・祝
会場:ギャラリーヤマグチ クンストバウ
最終更新 2013年 1月 12日
 

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