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D[di:] :おそらく、永遠に片思い
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2012年 6月 08日

THE FROZEN FLOWER TANK!
600×900mm
ドローイングコラージュによるデジタルプリントアクリルフォト

D[di ]個展「おそらく、永遠に片思い」を開催いたします。今回の展覧会では、D[di ]自身のフィジカルなアレルギー反応と、それに反発して生まれた憧憬 が原動力で生まれた作品たち、20数点が出展される予定です。花の集積で象られたTHE FROZEN FLOWER COMBATシリーズや、ポエティックで意味 深な言葉を刻むthe WORDシリーズ、緻密な色鉛筆のタッチで描かれたBON-SAIシリーズの他、人気の定番や新作グッズも販売いたします。この機会 に是非ご高覧ください。


D[diː]をどう捉えるか。初めて彼女の世界に触れた時からの問い。彼女の作品の世界観を感じるなどという不誠実な態度ではなく、また理解や解釈とい う形骸的な試みでもない。「捉えたい」という欲求を生み出す存在が、私にとってのDD[diː]であり、アーティストとしての新しい姿を生み出そうとしている D[diː]のオリジナリティである。新しいアーティストの姿というと輝かしいクリエイティビティと才能に満ちあふれたポジティブな印象を与えかねないが、 D[diː]の場合は違う。自身の創作がアレルギー反応という「拒絶」を根拠に成立しているという時点でどこか痛々しい。近づきたくて求めれば求めるほど 自らが拒絶するものを追いかけ続けるなんて、痛々し過ぎはしないか。いや、本当は私もそうしたいのかもしれないが、きっと出来ない。痛々しいと思いた いが、本当はそんなD[diː]に憧れているのだろう。強固で絶対的なものではなく、儚く壊れてしまいそうなものに愛を感じてしまうよう、おそらくDNAレベ ルで刻み込まれている我々に「捉えたい」と思わせるD[diː]のうしろ姿。それが私にとっての新しいアーティストの姿なのかもしれない。

ーhpgrp GALLERY TOKYOディレクター 戸塚憲太郎

[作家コメント]
昨年10月、H.P.FRANCE WINDOW GALLERY MARUNOUCHIでの「ないものねだりin my FORESTED room」展で、創作とは「ないものねだり」と相似であるという持論から、自分にとってのナイモノネダリを表出させようと試みた。それは、こころから求めてやまない森や草花などの自然、好きが高じて絵の題材に選んでいた動物たち・・・へのアレルギーからくる反作用。好きなのに近づけないという「想い」からくるナイモノネダリ。それらを、一単位が「花」というモチーフの集積で構成した。
本展では、ナイモノネダリをさらに推し進めたいと思う。実際に、自分のアレルギー反応も重度化してきている。森に入ったり、動物に近寄るなどのアレル
ゲンと直接接触したときにだけ出ていた発熱や咳などの症状が、普通に都会に住んでいて何にも近づいていないのに発症するようになってしまった。もはや「生きているだけでアレルギー」を発症してるのではないかという生きづらさ。憧れの金髪にしようとヘア・ダイを使用すれば、アレルギーで顔がパン
パンに腫れ、切り花や植木鉢でさえ近寄れば鼻がむずむずする。手に触れたいと思うほど、物理的に拒絶反応をおこしてしまい、その憧憬と拒絶反応の二本のベクトルの拮抗具合は強力になっていくようだ。そして遂げられない想いは、内で肥大化していく。ともかく、わたしの制作欲は、いまのところ、ナイ
モノネダリであり、おそらく永遠につづく片思いの結晶化なのである。
―D[diː]

[作家プロフィール]
D[diː] /作家・イラストレーター・アーティスト

2000年、多摩美術大学在学中に発表した『ファンタスティック・サイレント』を、宮崎駿監督のお墨付きで出版、デビュー。二作目、『キぐるみ』発表で「ノベルコミック」という文学スタイルを生み出し読者に衝撃を与え、その後も鋭い観察眼と叙情的な文章でシニカルかつスイートな世界感の作品を精力的に創作。小説、漫画、イラスト、ファッション、デザインなど多分野をまたに活動する稀有な存在として、各界の著名人にも支持者が多い。

Opening Reception : 05.31(thu) 19:00-21:00


全文提供:hpgrp GALLERY東京
会期:2012年5月31日(木)~2012年6月17日(日)
時間:11:00-19:30
休日:月
会場:hpgrp GALLERY東京
最終更新 2012年 5月 31日
 

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