柴田精一:ねじれ世界をねじあける |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2012年 5月 01日 |
柴田精一は1984年に香川県に生まれる。京都精華大学にて絵画を学び、京都芸術大学大学院では彫刻を専攻、ひたすら平面(タブロー)に近い彫刻というパラドックスを具現化する。紙を使った紋切り重ねという平面的でありながら切る、彫るという彫刻的作業を施す独創的な作品から始まり、近年は人物や風景をモチーフに極薄の桂の木板に彫り込み着彩したレリーフ作品を制作、紙のように薄く仕上げたその作品はあるときは絵画そのもののようにも見えながら彫刻ならではの彫り跡や量感を伴い不思議な錯覚を誘う。アクリル絵具によるその独特の彩色は江戸時代の彫物師の手になる日本の古典彫刻の再現ともいえるイメージさえ漂うが、そこに選ばれたモチーフは非常に今日的である、例えば猟奇事件のあった現場周辺に漂う不穏なイメージを歪んだ風景に表現した「鈍角のレリーフ皿池」2011年、口論するかのように大きく開けた口蓋でつなぎ合わされた若いカップル「交差する顎」2012年などに見られるように。今展は新作の多様なレリーフ作品によって空間を構成する、タイトルにある「ねじれ世界」を多角的なアプローチで視覚化する試み。 全文提供:ギャラリーほそかわ 会期:2012年5月7日(月)~2012年5月26日(土) |
最終更新 2012年 5月 07日 |