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Published: April 27 2012 |
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この度、ギャラリー・テラ・トーキョーでは苅谷昌江の個展を開催いたします。 いままでの絵画という媒体だけでなく、自身のパフォーマンスを映像作品として発表いたします。 今回苅谷は「もっと野蛮で野性的な、感情的で豊穣なわたしからはみ出してしまう怪物のような混沌を愚直にあらわしてみたいと考えています。前に前に、と進化発展に猪突猛進するだけではなく、こと文明の発展の際には曲がったり引き返したりすることが苦手なわたしたちにとって、絶えずかたちを変えつつ決して特定の何かにとどまろうとしない混沌との共存の仕方を探し続ける」ことを意識した作品になっています。確からしいこと、決まっているように見えること、既存の固定観念に私たち自身が疑問を投げかけざるを得ない、そのような作品になっています。
[作家コメント] 人は言葉を持ち、文明を発展させて、共同体のなかで法や規範を作って公共性を保ちながら、共生しています。より豊かな生の発展のためには、さまざまな関係性から特定のものを特定の何かとして定義し明確にし、お互いに共有することは大切だと思います。でも、わたしには、そんな風に定義される文明も自然も人間も動物は、いつも一時的なもので、実は絶えずかたちを変えつつ決してひとつの意味にとどまろうとはしていないように思えてならないのです。 文明を発展させて、より豊かで良い生を送ることを望み、前に進み続けてきたわたしたちが同時に多くの問題を生み出していることもまた事実だと思います。それに、文明の発展との関係で言うのであれば、わたしたちはもう充分に豊かな生を送っているのではないでしょうか。地球全体の規模で考えてみたとき、たとえば食べること寝ることもままならぬ環境で暮らす人たちがいて、そういう意味では充分でないかもしれません。でも、たとえば資本主義のようなシステムによって、わたしたちは現状をより良いものにしていくことはできるのでしょうか。 わたしたちの目に映る光景のなかには、たとえば「電車」だとか「木」だとか「日光浴」だとか「笑う」だとか、そうやって名前をつけて呼び慣らしてきたものごとがきらめくように溢れています。わたしたちひとりひとりが生きて過ごす何年とか何十年という長さではなくて、千年とか一万年という時間のなかに、それらの呼び慣わされたものごとが置かれている場面を想像しながら、あらためて光景を眺めてみると、ものごとの境界線が不可思議にもくにゃくにゃとなんとも形容しにくいものと感じられることはないでしょうか。 わたしたちが「人」と呼ぶものもまた、そんなまなざしでみつめてみたとき、人と人以外のものの境界線だって曖昧なものに見えてくるので不思議です。ほんとうに、人の人らしさっていったい何なのでしょうか。 ときの流れを過去から未来へではなく、過去も現在も未来も、あるいは起こるかもしれない可能性も起こらなかったかもしれない可能性も、全部が共存するようなときの時空としてとらえなおしてみたときに感じる混沌は、わたしたちの人間観のようなものをもっと別様にしてしまう力があるような気がします。 わたしは、いま、これまでとは違う人間像が求められていると考えています。でも、決してこれまでの文明の歴史を否定して新たに人間を考え直すというような大仰なことではないのです。たとえば、わたしたちが何か特定のものを特定のものとして捉えたと思ったときに、同時に抜け落ちてしまう曖昧さや野蛮さをうまく拾い落とさないようにするための術を身につけたい、そう考えているのです。 わたしはそのために、これまで行ってきた作品制作の過程で生まれたわたしをわたしとするわたしらしさと同時に、もっと野蛮で野性的な、感情的で豊穣なわたしからはみ出してしまう怪物のような混沌を愚直にあらわしてみたいと考えています。前に前に、と進化発展に猪突猛進するだけではなく、こと文明の発展の際には曲がったり引き返したりすることが苦手なわたしたちにとって、絶えずかたちを変えつつ決して特定の何かにとどまろうとしない混沌との共存の仕方を探し続けることは、いまわたしたちに必要な術のひとつなのだとわたしには思えてならないのです。
[作家プロフィール] 1980 年高知県生まれ。 2004 年京都市芸術大学大学院美術研究科絵画専攻(修士課程)修了。
2009 東京『VOCA 2009』選出。 2008 高知『Jeans Factory Art Award 2008』準グランプリ 高知文化プラザかるぽーと 2007 京都『AMUSE ART JAM 2007 in Kyoto』グランプリ部門グランプリ 京都文化博物館。
2009 京都『nowhere,nowhere』京都アートセンターにてグループ展。 2008 広島『是が非の絵画』大和プレスビューイングルームにてグループ展。
オープニングレセプション/イベント 4 月21 日(土) 18:00−20:00 オープニングイベント:ダンスパフォーマンス JUNJUN 19:00- 映像作品「野蛮な宴」 監督、出演、美術:苅谷昌江 音楽:山中透 撮影:川本陸洋、澤崎賢一 メイク:杉本泰江 スペチャルサンクス:五十川あき、鈴木孝平
全文提供:ギャラリー・テラ・トーキョー
会期:2012年4月21日(土)~2012年5月26日(土) 時間:12:00−19:00 休日:日・月・祝 会場:ギャラリー・テラ・トーキョー
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Last Updated on April 21 2012 |