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笹川治子: 「case.A」
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2012年 4月 26日

笹川治子 Haruko Sasakawa 「case.A」DM画像
(c) Haruko Sasakawa

笹川治子
セキュリティーシステム I
ミクストメディア
ART OSAKAでの展示風景*参考画像

この度、Yoshimi Artsでは、笹川治子の個展を6月と9月の2度にわたる会期で開催致します。また、7月に行われる「ART OSAKA 2012」でYoshimi Artsの「PLUS」というブースにてワンマンショーを行います。 男の子達は、強くなりたい一心で世の中の進化への夢を見、夢を実現する為に、壮大な意志と労力をつぎ込み、犠牲をも厭わず、進歩という思想を持って突き進んできました。3.11以降、私達が見ている福島原子力発電所の廃墟は、男の子達の思想と現実が脆くも制御不能に陥った状況が可視化されたといえます。荒廃した福島原発のビジュアルは、60年代から頻繁に劇画等で物語の行く末として描かれた終末風景が、地下鉄サリン事件と同じく現実に現れた日が来たかのようです。笹川治子は「Pets」(2011)で、取り残されたペット達を木屑や新聞紙などでくみ上げ、その光景を露にしました。 日本において、女性が社会と対峙した時、未だに家父長制が横たわる社会と直面し、男の子達の神話が壁となって現れます。笹川治子の作品を見ますと、例えば、ロボットをビニールで制作した「うつろ戦士」(2009,2011)や、木製で骨格だけを露にした「アフターコンストラクション」(2011)など、その神話に対し皮肉めいているように感じます。 また、個人情報の問題が大きく取り上げられる昨今、私達は意識していない所で監視カメラによって日常的に監視されています。「セキュリティーシステム」(2009,2011)は、録画の機能を持ち合わせていない擬似的な物体で、鑑賞者に見る側でありながら見られることを意識させ、監視による安全神話に問いを投げかけています。 この世は、不完全な人間という動物と、完全な情報機会だけで完結している世界です。文化とは、不完全な人間が形成する社会に対し、無数にある情報を加工し、あらゆる素材を引き出して、神話にまで高めることであり、それが社会の不完全を代償する事になると考えられます。 笹川治子は、この社会で起こる出来事に対し批評的な視点を持ち、それらを記号的に可視化し、また、現象を様々な局面に置き直し、脱力的に表現することでリアリティーを表出する試みをしています。今回の個展では、「アドバタイズメント」の効力に着眼点を置いた新作で、平面・立体・映像によるインスタレーションを発表致します。 是非、この機会にご高覧賜りますようご案内申し上げます。

[作家プロフィール]
笹川 治子 Haruko Sasakawa
大阪府出身 茨城県取手市在住
2005年 デジタルハリウッド3DCG科卒業
2009年 東京藝術大学 美術学部 先端芸術表現科 卒業
2011年 東京藝術大学 大学院 先端芸術表現専攻 修士課程 修了
現在 東京藝術大学 大学院 先端芸術表現専攻 後期博士課程 在籍

受賞歴
2011年 M.M賞(art scape web上にて)
2010年 村田真賞(art scape web上にて)
2007年 安宅賞 東京藝術大学

展示
2012年 『Primitive [ in order ] (秩序の中の原初)』 Yoshimi Arts 大阪
2011年 Shiny holidays exhibition 2011『the Civilization』 銀座西欧ギャラリー 銀座
JAPIGOZZICOLLECTION収蔵
『素描/エクリチュール』SPROUT Curation 清澄白河
『1st Anniversary でも、記念日は休み』 Yoshimi Arts 大阪
『Insight “Repetition/反復Ⅱ”』Yoshimi Arts 大阪
『ART OSAKA』Insight “Repetition/反復” Yoshimi Arts グランヴィア大阪
『AATM アートアワードトーキョー丸の内』 丸の内行幸地下ギャラリー
『floating view ”郊外”からうまれるアート』トーキョーワンダーサイト本郷
『芸大先端2011』修了制作展 BANKART 横浜
2010年 『とりでアートの日』ギャラリーきらり 取手
『The shiny future exhibition 2010 The Globalization 笹川治子×BARBARA DARLINg 』東京芸大 上野
『Open Think Tank 2010』 井野アーティストヴィレッジ 取手
2009年 『フランス大使館解体前プロジェクト No Man’s Land MEMENTO VIVERE/MEMENTO PHANTASMA』旧フランス大使館 広尾
『アトラス展』東京芸大美術館 取手
『Project the Projectors 2009 東京芸術大学先端芸術表現科卒業制作展』ZAIM 横浜
2008年 『SOUND & VISION vol.3』 ZAIM 横浜
『フランケンシュタインコンプレックス』映像上映会 千駄木
2007年 『デジャメーヴユ 既/未視感』顕賞展 東京芸大 上野
『HIGURE 5th Anniversary Exhibition』HIGURE17-15 art cas 日暮里
『ういてんぺん』HIGURE17-15 art cas 日暮里
『p-f』ギャラリー蔵 北千住

「case.A」 2012年6月1日(金)-6月17日(日) 11:00-19:00 会期中無休
「case.D」 2012年9月1日(土)-9月17日(月・祝) 11:00-19:00 会期中無休
レセプション 9月1日(土) 17:00-
会場 Yoshimi Arts

ART OSAKA
プレビュー 2012年7月6日(金) 14:00-19:00(プレス・招待者のみ)
一般公開 2012年7月7日(土) 11:00-18:00
2012年7月8日(日) 11:00-19:00
ナイトビューイング 7月7日(土) 19:00-21:00(招待者無料 一般入場者有料)
会場 ART OSAKA-Yoshimi ArtsブースPLUS- ホテルグランヴィア大阪 Room no.6022
大阪市北区梅田3-1-1 TEL 06-6344-1235(代表) URL www.granvia-osaka.jp

全文提供:Yoshimi Arts


会期:2012年6月1日(金)~2012年6月17日(日)
時間:11:00-19:00
会場:Yoshimi Arts

最終更新 2012年 6月 01日
 

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