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松本秋則:sound scenes 代官山
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2012年 1月 22日

画像提供:アートフロントギャラリー

松本秋則は1980年代初頭より音の出る作品(音具・サウンドオブジェ)を創作。美術館だけでなく、屋外など様々な場所で音のサウンド・インスタレーションを展示してきた。主に竹を組み合わせ、からくり人形のように風や水や電気を使い、コトコトと柔らかな音を立てて作品を回転させたり、動き、光の陰影をうまく活用しながら、シンプルでユーモラスな動きのあるインスタレーションを発表してきている。2009年に新潟で開催された「水と土の芸術祭」や2010年の「瀬戸内芸術祭」での作品は空間をも材料として取り込んでいるような、場と一体化した作品で、入り口に時間待ちの見学者が行列をつくった。

松本作品を実際に始めて見たのは「水と土の芸術祭」であった。見るというより体験したという方が正しい。なにか根本的なショックを受けたのを強く記憶している。印象派と絵の具チューブの開発の歴史的な相関性を取り上げるまでもなく、近代以降美術は技術開発とともに歩んでいる。近年の美術館での大掛かりな展示を見ると、作家だけではなく、その背後に多くの技術者たちの素材やテクノロジーの開発の歴史が見えてくる。まさに美術は普通に世の中で見た事のない物を具現化する要素が多く、次なる新しい作家たちは今ある技術を土台にしながら次の美術を作ってゆくのである。松本の作品が圧倒的なのはその流れに委ねることなく、小中学校時代に私たちが学んだ電気、物理レベルのシンプルな構造と素材感を活かしているということなのだと思う。松本の作品を見たときの驚きとは、私たちが実体のない「見たことがない」ものを見たい美術への欲望が、木を切り、組み合わせ、紙を貼り、紐を結び、光をあて、という空想と人の手で作ることができる範囲での作業で見事に具現化されていることにあると思う。松本の作品がいま現代の中にきちんと存在するのは美術の存在の根源に関わることだと思う。
(アートフロントギャラリー)

[作家プロフィール]
松本 秋則 Akinori Matsumoto

略歴
1951 埼玉県生まれ
1982 音の出る作品(サウンド・オブジェ)の制作を始める
1985 第17回現代日本美術展、佳作賞 東京都美術館・京都市美術館
1987 美ヶ原高原美術館賞
1992 五島記念文化財団の助成で1年半、アジア7カ国で少数民族の芸能を研究
1999 第9回アジア・アート・ビエンナーレ グランプリ / バングラデシュ

主な個展
2006 Bamboo Bank 横浜BankART1929 / 神奈川
2001 SUNARI project in BALI バリ島の水田 / インドネシア
1999 バンブー族の祭り ZEXEL ART SPACE ZOOM / 東京
1998 ジャングルぐるぐる 浜田市世界こども美術館 / 島根
1995 サウンドof アジア ストライプ・ハウス美術館 / 東京
1991 記憶の風景展 すみだリバーサイドホール・ギャラリー / 東京

主なグループ展
2011 Bank ART Life III 新港ピア / 神奈川
岡山芸術回廊プレ展 後楽園 / 岡山
2010 瀬戸内国際芸術祭 男木島 / 香川
2009 水と土の芸術祭 / 新潟
2008 木のぬくもりとあそびの中から生まれた形たち展 練馬区立美術館 / 東京
2007 あーと@つちざわ advance / 岩手
2005 比治山アート・プロジェクト 広島現代美術館 / 広島
2004 きょうの はやまに みみをすます 神奈川県立近代美術館・葉山館 / 神奈川
2003 夏のワークショップ+展覧会 宇都宮美術館 / 栃木
2002 ワークショップ・展示 東京都現代美術館 / 東京
2001 竹のオーケストラIII The Queen Elizabeth Sixth Fome College / イギリス
1998 第4回大分アジア彫刻展 朝倉文夫記念公園 / 大分
1991 雨の演奏会 原美術館中庭 / 東京
1990 あそびの心展 世田谷美術館 / 東京
1989 Japanese Way Western Means / オーストラリア
おもしろ わざもの すぐれもの展 岐阜美術館 / 岐阜
1988 ワークショップ金属 目黒美術館 / 東京
動きの表現 埼玉県立近代美術館 / 埼玉
1987 第5回ヘンリー・ムーア大賞展
1985 第2回東京野外彫刻現代展 砧公園 / 東京

全文提供:アートフロントギャラリー


会期:2012年1月7日(土)~2012年1月29日(日)
時間:11:00~19:00
休日:会期中 月曜休廊
会場:アートフロントギャラリー

最終更新 2012年 1月 07日
 

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