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西野達:バレたらどうする
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 4月 14日

© Tatzu NISHI “candelabro” (2007) MDE07 International Encounter Medellin 07 / Contemporary Art Practices, Medellin, Colombia. photo by Conrado Uribe

© Nacasa & Partners Inc. / Courtesy of Hermes Japon “天上のシェリー”, 2008年 座メゾンエルメス

“花火師”[参考図版]

“Cafe in the sky - Moon Rider” (2004) Dublin, Ireland photo by Tatsurou Bashi

“Cafe in the sky - Moon Rider” (2004) Dublin, Ireland photo by Tatsurou Bashi

西野達は、1987年よりドイツに在住し現在ヨーロッパを中心に活動し、世界中で公共空間を中心に大型プロジェクトを行っています。街のモニュメントや街路灯など日常に馴染まれた公共物を取り囲むようにリビングルームを建築する彼の代表的な作品は、パブリックなものをプライベートに変容させることで日常的な観念を壊し、鑑賞者に強烈な刺激を与えます。突如と現れた足場のかけ られたプレハブのような不思議な家に入ると、数日前まで公共彫刻だったモニュメントが個人宅の居間の置物として机の上に何気なく飾られ、観客はそれが何であるか気づいた瞬間、驚きと可笑さとともに想像力を刺激されるのです。

日本では2002年の水戸芸術館「日常茶飯美−Beautiful Life?」での発表を皮切りに、2005年横浜トリエンナーレ、2006年メゾンドエルメス、愛知県美術館、2007年森美術館、広島市現代美術館、2008年AKASAKA ART FLOWER 08とここ数年精力的に発表し、毎回観客をあっと驚かせてきました。特に横浜トリエンナーレで発表した中華街にある公園の東屋をベッドの天蓋に使いホテルにした作品「ホテルヴィラ會芳亭」や、2006年の銀座メゾンエルメスでの個展での恒久的にビルの頂上に君臨する騎馬像「花火師」を取り囲んだ作品「天上のシェリー」など、普段体験することのない体感的な作品は記憶に残るところです。また海外では、メデリン07 国際芸術祭(コロンビア / 2007年)、ナント・ビエンナーレ(フランス / 2007年)、ロサンジェルス現代美術館(MOCA / 2005年)、リバプール・ビエンナーレ(英国 / 2002年)など国際的に活躍しています。

西野は、「芸術は鑑賞者がいることで成立するもの」という前提の上に、美術館など目的を持たない、構えやヒエラルキーを持たない人々誰もが芸術の鑑賞者となれる公共空間を舞台にしています。忽然と出会ったものが芸術作品であることがわかるよう、意識的に単純明快にアプローチしていくことで見る者を油断させ、感覚を揺さぶりながら様々な視点で芸術とはなにかという問いを投げかけていきます。また自らが公言する作品のキーワード「笑い、暴力、セクシー」は人間本来の持つ性質である共通ワードであり、それらを作品に内在させることで、芸術によって人間が根源的にもつ知性、感性や想像力などを呼び覚ます行為ともいえます。 西野は巨大な公共の場、言い換えれば生活のカオスである「社会」と「芸術」を真正面に対峙させ、さらなる想像力を拡げながら挑戦をし続けています。 本展覧会はギャラリーという無個性であり、また公共とプライベートともいえない小空間を使い、インスタレーションと、日本で行ったプロジェクトの新作の写真作品、ドローイング作品などを発表いたします。

※全文提供: ARATANIURANO

最終更新 2009年 5月 09日
 

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