編集部ノート
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執筆: 田中 みずき
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公開日: 2011年 12月 01日 |
旧来の一点透視図法を否定し、様々な方向から観たものを一枚の平面に収めたのが「キュビズム」。しかし、もしキュビズムの絵を様々な方向から観てしまったら、そのコンセプトが揺らぎはしないだろうか。 そんな問いを持ちたくなるのが、今回の阿部の展覧会。色づけされた小さなキューブが白い壁に並ぶ様を観ていると、ぼやけた輪郭で人物の横顔等が浮かんでくる。網点といわれる極小のドットを組み合わせて生み出される印刷の仕組みと一緒だ。何処から観てもおぼろげな姿しか現れず、しかし真横や斜めからでは、やはり正面から観たものとは違うようにも観えてもきたりして…。 立体と平面との関係を再考させてくれる作品、現場で様々な方向から眺めて確かめたくなる展示である。
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最終更新 2011年 12月 01日 |