| EN |

ベトナム絹絵画家グエン・ファン・チャン 絵画修復プロジェクト展
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 11月 04日

グエン・ファン・チャン《牛に乗って川を渡る女》| 1967年 | 彩色、絹 | H71.8xW51.9cm | 三谷産業株式会社蔵 | ©Nguyen Nguyet Tu

概要
グエン・ファン・チャンはベトナムが誇る近代の絹絵のパイオニアとして知られる画家です。「ベトナム絹絵画家グエン・ファン・チャン 絵画修復プロジェクト」では、彼が家族のもとに遺した貴重な作品3点が日本の多くの有志の人々の熱い思いによって修復されるまでを紹介します。グエン・ファン・チャンの絹絵は、絹地に水彩で描かれ、何度も画面を洗浄しながら描くというその独特の手法ゆえ、温湿度や光の影響を受けやすく、高温多湿の本国では傷みの進行が懸念されていました。今回修復が試みられた3点を初公開するとともに、3年に渡る困難な修復への道程を綴るドキュメンタリー映像によって、ベトナムを愛する日本の民間の人々の力で成し遂げられた偉業をお伝えします。

グエン・ファン・チャン Nguyen Phan Chanh(1892‒1984)
1925年、フランス人により設立されたインドシナ美術学校の一期生である彼は、西洋の造形技法と東洋の平面的な画法を組み合わせた全く新しい技法を開拓し、ベトナム近代絹絵というジャンルを創出したとされる。戦渦の厳しい時代のなか、グエン・ファン・チャンは、農村に暮らす人びとの姿を見守るように描き続けた。本プロジェクトで修復された3 点も、グエン・ファン・チャンらしい暖かなまなざしが感じられる。《牛に乗って川を渡る女》では、農作業を終え、牛を水浴びさせて家路へ戻るところか、牛の背に乗って夕日に染まる川を渡る女性の姿が描かれている。《船を燻す女》もまた、木造船作りの最終段階である燻蒸作業の場面が描かれている。《薪を取りに行く》にも見られるように、どの絵にも伝統的な労働の姿が絹絵の柔らかい色調で描かれており、懐かしい記憶のようなノスタルジックな印象を与えている。

全文提供: 金沢21世紀美術館


会期: 2011年10月22日(土)~2012 年2月12日(日)
会場: 金沢21世紀美術館デザインギャラリー

最終更新 2011年 10月 22日
 

関連情報


| EN |