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木藤恭二郎+高島進:時を刻む線―現れる面
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 11月 04日

画像提供:Gallery Face to Face

木藤さんも高島さんもこれまで個展、グループ展、そして様々なコンペでの受賞など長く制作活動をされているベテラン作家です。

木パネルに線を穿ち、 面を刻む。 白いジェッソを塗り、黒鉛を擦り込む。木藤さんの作品はその無彩色の世界の中に豊かな質感と表情を持っています。

静謐な画面の前に佇み、白と黒のあわいからゆっくりと現れてくる像を見つめていると、それは画家が言うように静かに呼吸をしているかのようです。

独特な表情を持った「面」として見える高島さんの作品は、 実は銀筆や色鉛筆の線の集合です。

一定のルールを持って引かれた線は、画家の緻密な営為の結果であると同時に、あたかも描画材が意志を持って作った結晶体のようです。

木藤さんの作品は新作を含め約10点、高島さんの作品は新作を約10点展示します。是非、ご高覧ください。

※全文提供: Gallery Face to Face


会期: 2011年11月5日(土)-2011年11月27日(日)
会場: Gallery Face to Face

最終更新 2011年 11月 05日
 

編集部ノート    執筆:田中みずき


画像提供:Gallery Face to Face

   木藤恭二郎は、平面の木に上空からみた風景や建築物らしきものを掘り込む。黒く色付けられた景色と、何も描かれていない枠状の白い空間との対比が、モノクロの写真であったり水墨画であったりを連想させて興味深い。木を掘り込む作業と、時間の過ぎていく街と、白黒の色のイメージが混じりあい、記憶の中の景色に出会ったような気持ちになる。
   一方、高島進が掴みだすものは、ペンでもデジタル機器でも記録できないものだ。尖らせた銀筆(銀製の芯の筆記用具)や色鉛筆で線を引き、次第に丸みを帯びる先端をそのまま使っていく。深く鋭く刻まれた「始まり」と、ゆるやかになぞられていく「終わり」とが、厚い紙の上に表れる。制作の時間の軌跡が、線を引く一瞬一瞬の緊張感とともに封じ込められ、自分の知らない間に流れていた時間を秘かに記し付けていた行為に思いを馳せてしまう。
   二人の作家によって刻みこまれた表現、それぞれの個性を味わいながら豊かな時間が過ごせるだろう。




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