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おまえはどうなんだ?松の湯二階
編集部ノート
執筆: 田中 みずき   
公開日: 2011年 10月 28日

画像提供:おまえはどうなんだ?展 松の湯二階 広報部

営業中の銭湯の玄関脇にある階段を上ると、2階が展覧会場になっている。2階にも銭湯のフロントや浴室が健在だ。広間のような空間も有り、どのような使われかたをしてきた場所なのか興味をそそる。

そんな空間に、若手の作家の作品が並ぶ。かつては様々な人が行き交ったであろうフロント付近や廊下には、肖像写真と写された人物についてのテキストを並べた西村知巳の作品があったり、浴室の浴槽の中には刺青の写真をくしゃりと丸めて無数に浮かべた窪田美樹の作品があったりして、展示場所が生かされた作品に心が動かされる。また、小さく囲われた浴室では、水入りの浴槽内に、ぐるりと周になった車道を走る車が上空から撮られた映像が投影されている。池田拓馬による本作は、暗く照明を落とした展示スペースの空気を感じながら、水面や浴槽の底にはかない光で映りこむ車が走る様子を覗き込む趣向だ。真夜中、都会の銭湯に入った際の、落ち着きや孤独感、銭湯の外へ馳せる思い等が作品に重なり、印象深い。

今回の展示では、作家と作品についての説明が書かれたファイルを入り口で借りられるのも面白い試みだ。ファイルを片手に展示場を巡り、銭湯で他のお客と初めてしゃべるように、作品に出会っていく楽しさを味わっていきたい。

最終更新 2015年 11月 01日
 

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