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家畜人ヤプーの世界-村上芳正 原画展
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 9月 14日

村上芳正『家畜人ヤプー』挿絵より | 21×15.3㎝/画用紙に丸ペン、水彩/1970年 | 画像提供:artdish g | Copyright© Yoshimasa Murakami

ディレッタンティズムと奇想にみちた作家たちの装幀や、イラストレーションに、耽美と官能感覚をもって応えられた村上さんの仕事はとても美しい。それは華麗に増殖と装飾をくりかえしながら、花をつけていく人工庭園の眺めに似ている。
-宇野 亜喜良

三島由紀夫、澁澤龍彦が絶賛し、戦後最大の奇書とも呼ばれた沼正三の『家畜人ヤプー』。 昭和31年より『奇譚クラブ』に連載され、昭和45年、単行本が出版されるやいなや、高度成長期にあった太平ニッポンに衝撃を与え、いまや昭和の古典ともいうべき名作です。この大作に決定的なイメージを与えたのが画家・村上芳正による挿絵・装幀のアートワークでした。

玲瓏たる貴婦人の謎の微笑に薔薇に縛られ苦悶する男性たち
――三島由紀夫に愛され、遺作『豊饒の海』の装幀を託された芸術家気質の氏は、この『家畜人ヤプー』にも優雅で残酷、華麗な美の世界を展開しました。 現存する『家畜人ヤプー』の原画を一堂に、また澁澤龍彦、吉行淳之介、倉橋由美子、連城三紀彦、ジャン・ジュネら代表作も含めた村上芳正原画展(展示予定数は70点程)を開催いたします。耽美と幻想、エロティシズムとグロテスクの饗宴を、ぜひご高覧ください。

村上芳正(むらかみ・よしまさ)
1922年5月11日、長崎県長崎市に生まれる。少年時代より独学で絵筆を執り、フランス映画を観るのを楽しみとした。戦時中は台湾まで出征、終戦後、帰郷したが、長崎は原爆を投下され壊滅的な打撃を受けていた。孤独な少年時代と戦中の過酷な体験が、虚無のなかに美を視る眼を養うことになる。戦後、役者を目指して上京。かたわら二科展に連続入選を果たし、三島由紀夫の知遇を得て文学座公演のポスターを手掛ける。このことがきっかけで、吉行淳之介、倉橋由美子、三島由紀夫、沼正三、澁澤龍彦、曾野綾子、渡辺淳一、瀬戸内晴美(寂聴)、赤江瀑、連城三紀彦、皆川博子らの作品集、『ジャン・ジュネ全集』『バタイユ全集』など、多くの装幀作品で一世を風靡した。一時期「村上昂」の筆名を使用。映画ポスター、レコードジャケット作品なども多数。2010年11月、ギャラリーオキュルスにて初の個展「村上芳正の世界展」、2011年4月、市立小樽文学館にて「文学に捧げる花束ー村上芳正展」を、開催。

全文提供: artdish g


会期: 2011年9月15日(木)~2011年10月28日(金)
会場: artdish g

最終更新 2011年 9月 15日
 

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