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玉野真衣:monuments
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 9月 05日

Copyright© Mai Tamano | 画像提供:Port Gallery T

Artist's statement
ものにすがっても 記憶は薄れてしまう
どうしたって曖昧になる
でも ものがここにあれば
すべてが消え去ることはない
少し安心した

かたちだけは残ってくれる
2011年7月 玉野真衣

2009年、玉野真衣は自分自身で残している幼少期のものを撮影した写真作品で展覧会を開催しました。

「忘れないように、と ものを残す/それはいつのまにか習慣になり/押入れの中で増えていく/今 外に出して見つめてみる/粘土も 手紙も 帽子も/変わることなく目の前にあるけれど/思い出せないことばかりだった/2009年6月 玉野真衣」

「忘れないように」と残していたものが、時間を経過し、「思い出せない」ことを気付かせるものになるという、「逆説・両義性」が明るみに引き出された戸惑い、ことの事実に向き合おうとする態度を形にした実験的な試みでもありました。展示された写真が、カメラの機械性を使った即物的描写を目指していたことから、現前する写真があくまでも「記録」であることを示し、さらに、残しているものの量が膨大であることを1冊の分厚いアルバム展示に集約させる構成での展覧でした。 即物的であるがゆえに、幼少期のものに特有な可愛らしさが際立ちもしましたが、ここに展示されているものが、残しているものの「極々一部である」ことに気付いた鑑賞者は、懐かしさに退行するだけでなく、これからを予兆する、序章のような展覧会に見えてドキリとされたのではないでしょうか。 その展覧からちょうど2年が経ちました。玉野自身の行為や営みそのものは現在も続いていると言います。しかしその過程で実感する事柄に変化や気付きもあることでしょう。

そこで、記録された写真、続く行為や営みそのものにも何らか重要な意味が内包されているのはないだろうか?という仮説のもと、進行形の発表プロジェクト「プロセス」として本展を開催いたします。 ものを残す、所有する、有形・無形、記録と記憶、それらと共にある時間とは? 巻き戻しのきかない時間という線上で、わたしはどのように生きていくのだろう? 玉野が提示する会場へ、ぜひお越しいただけましたらと思います。 ご来廊、お待ちしております。

玉野真衣 MAI TAMANO
1982 兵庫県生まれ
2004 関西学院大学社会学部社会学科卒業
2010 写真表現大学研究ゼミ2修了

個展
2009 「fade away」(Port Gallery T/大阪)

グループ展
2006 写真表現大学暗室上級コース修了展 「a mano a mano」(NPO法人彩都メディア図書館Exhibition wall/大阪)
2007 第18期写真表現大学修了展 「交差展」(海岸通CASO/大阪)
2007 「DOOR2007」(Port Gallery T/大阪)
2008 写真表現大学研究ゼミ1修了展「18」(海岸通CASO/大阪)
2010 「PORTFOLIO EXHIBITION vol.2」(Bloom Gallery/大阪)
2010 「DOOR to DOOR 2010」(Port Gallery T/大阪)

関連企画:巡るプログラム 記録と日常03
「残されたなにか~わたしに関する品々~」
日時:9月17日(土)18:30~20:30
参加費:1,000円 
*ギャラリーまで事前ご予約下さい
出演:玉野真衣(本展作家)、 宮本博史(アーティスト)、 天野多佳子(ディレクター)、鷹野隆大(写真家)

※全文提供: Port Gallery T


会期: 2011年9月5日(月)-2011年9月17日(土)
会場: Port Gallery T
オープニングパーティ: 2011年9月5日(月)18:30~

最終更新 2011年 9月 05日
 

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