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井上廣子 写真展:Inside-Out
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 3月 24日

精神病院、高知県/日本、2004年 copyright(c) Hiroko INOUE / Courtesy of FOIL GALLERY

窓に向けてカメラを構えると、人々の人生の連なりが見え、「自分は生かされている」ということをひしひしと感じた。
−本人インタビューより(日本経済新聞 2008年11月26日)

「Inside-Out」は造形作家として国内外で活動する井上廣子が、ライフワークとして10年以上続けている、精神科病院や少年院など人が隔離されている建物の「窓」を撮影した作品です。阪神大震災をきっかけに「窓」を撮影し始め、その後国内各地に限らず、海外の拠点であるドイツやオーストリア、またイエメンやアラスカへも足をのばしました。無機質な鉄格子、廃墟のような天井や壁、人の温もりがまだ残るベッドの上の布団…、閉鎖的な空間と対峙することでまた、人とのつながりの中にこそ希望があるということを実感します。そこで写された「窓」は、人が不在にもかかわらず、人の存在を感じられずにはいられません。 自らの原体験をもとにシャッターを切り続ける井上庸子の視点と、「窓」に潜む人の気配、それを見る私たちの視点が交差する「Inside-Out」。今展では約20点を展示致します。今展にあわせ、写真集『Inside-Out』も発売致します。どうぞ、ご高覧下さいますようお願い申し上げます。

 

井上廣子
大阪生まれ。造形作家。1974年より2年間沖縄で染、織り技法を研究。1998年大阪トリエンナーレ1998でデュッセルドルフ市・関西ドイツ文化センター特別賞を受賞し、1999年よりドイツで制作活動を行う。同市の芸術アカデミー等さまざまな文化機関と関わりながら、その後もドイツとの交流を深める。2005年より1 年間、文化庁海外派遣型文化交流使としてオーストリアに滞在。2007年、クレムソン州立大学(サウスカロライナ州)でレクチャーをしながら、有機素材のみを使った環境彫刻を作るプロジェクトに携わる。主な個展にヒルサイドフォーラム、東京(08年)、オットー・ワーグナー精神病院ユーゲント・シュテール・テアター、ウィーン(05年)、ムルハイム市立美術館、ムルハイム(03年)などがある。海外、国内での個展・グループ展は多数。

※全文提供: フォイル・ギャラリー

最終更新 2009年 4月 03日
 

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