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宇野亜喜良とアール・ヌーヴォーの作家たち
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 8月 10日

宇野亜喜良 《シャンソン》 1968年 | 川崎市市民ミュージアム所蔵 | 画像提供:ミューザ川崎シンフォニーホール | Copyright© Akira Uno

川崎市市民ミュージアム&ミューザ川崎シンフォニーホール共催展

グラフィックデザイナー、イラストレーターとして知られる宇野亜喜良(うの・あきら、1934−)のポスターやイラストは頻繁に「女」をモティーフとしています。

一方、19世紀末にフランスから起こったアール・ヌーヴォーのポスターにもさまざまな女性像が描かれました。時代や国は隔たっていますが、文化が爛熟しきったアール・ヌーヴォー時代と1960年代、70年代の時代背景には何か通じる点があったのでしょうか。

この展覧会では、宇野亜喜良とアール・ヌーヴォー時代の女性像との共通点に着目し、「横顔」「劇場」「花」「眼」の4つのテーマで構成、川崎市市民ミュージアムが所蔵するポスター30点余りを紹介します。

全文提供: ミューザ川崎シンフォニーホール


会期: 2011年7月24日(日)-2011年8月14日(日)11:00 - 18:00
会場: ミューザ川崎シンフォニーホール(神奈川県川崎市幸区大宮町1310/http://www.kawasaki-sym-hall.jp


最終更新 2011年 7月 24日
 

編集部ノート    執筆:田中 麻帆


宇野亜喜良 《シャンソン》 1968年
川崎市市民ミュージアム所蔵
Copyright© Akira Uno

1950年代からその独創的なイラストを支持され続け、現在も精力的に制作を行う宇野亜喜良の世界は、妖艶さ、グロテスクなイメージと、可憐さや優美さを併せ持つ。宇野は特に1960・70年代には寺山修司との交流から前衛劇団『天井桟敷』のポスターを手掛けたほか、様々な広告イラストを依頼され、熱狂的な反響を得た。

本展は、この時代の宇野のポスターをミュシャやビアズリーといった19世紀末のアール・ヌーヴォーの作家たちによるポスターと併せて見ることで、表現の特徴を浮き彫りにし、時代背景の共通性をも感じさせる試みとなっている。

宇野とアール・ヌーヴォー作家によるポスターが横顔、演劇、花、眼という4つのテーマに分けた上で並置され、類似するモチーフや描写を探しながら見ていくことができる。展示テーマの独自性もさることながら、各作家のポスターそれぞれに詳細な解説が添えられており、制作当時の社会的・文化的背景も味わえる。19世紀末と1960・70年代、各々のポスターを取り巻く時代の空気に思いを馳せ、印刷技法や顔料などの違いを見比べるのも楽しい。


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