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三嶽伊紗 展:遠景の座標/ 2009
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 2月 12日

《遠景の座標》映像部分 2009年 copy right(c) Isa MITAKE / Courtesy of Gallery Yamaguchi Kunst-Bau

三嶽は2007 年から新たに映像作品を制作し始めた。これまでは、いわゆる物質的で素材感のある「もの」を用いて作品を制作し、( 展示) 空間の中での「位置」や「光」、「距離」や「見え方」などの要素を繊細に取り入れながら、作家自身の「もの」に対する解釈を、作品を通して呈示してきた。 そんな作家にとって ( 物質的な「もの」ではない)「映像」を使った作品は、新しい試みであろう。 今回は主に映像作品を発表する。違う日、違う場所で撮影された、波打つ湖面や、揺らめく太陽など、動きのあるモチーフを何層にも重ねてつくられた映像を、プロジェクターやモニタを使って投影する。その作品には「映像」とは何か、「時間」や「場所」とは何かという問答が潜んでいる。「もの」が「映像」になっても、三嶽の作品を介し世界を解釈しようとする姿勢は変わらない。 この展覧会が、観る者にとって、世界を認識する新たなきっかけになるかもしれません。

作家コメント

琵琶湖を廻り、異なる場所、異なる日にカメラをまわした。家に帰り撮った画像をマックのうえに重ねる。水面だけを合わせた風景の[ 映像] は水だけが揺らいだ。仮に眠りの中でみる夢を[ 映像] と言うならば、その[ 映像] は動いているのだろうか。最近妙に気にかかる。例えば琵琶湖に立つ。水面が波打つ----[ ものごと] が流れる、そんな時間軸で観ているだろうか。ただ波打つ「水面」を観ているだけだと思えてしかたない。上手くは言えないが、其処に時間が存在することはなく、ウゴク「もの」だけがある。

[ もの] ではない[ 映像] を手法としてつくりたいと思いだしたのは、いつ頃からだったのだろう。知人に教えてもらい小さなビデオカメラだけは購入したものの、学校をでて[ もの] を触り制作しつづけてきた自分には、なかなか思いきりがつかないままだった。そんな私が、一昨秋、日頃から交流のある4 人で「八つの課題」というグループ展をした折「映像作品をつくる」と課題を出し、はじめて[ 映像作品] をつくった。正直、一度だしたら、もうツヨイ。自分が想う[ 映像] を並べ、瞼を閉じることなく[ 夢] の中を覗いてみたいと願う。

※全文提供: ギャラリーヤマグチ クンストバウ
最終更新 2009年 3月 07日
 

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