原田賢幸:おそらく一寸前。あるいは一寸先の。 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 7月 29日 |
原田賢幸は、今年2011年に武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻彫刻コースを修了、多数の日用品を用いたインスタレーション空間やドキュメンタリータッチの映像を得意とする若手作家です。2010年に第13回岡本太郎現代芸術賞に入選するなど、今後の活躍が大変注目されています。 原田の作品は、世界観に巻き込むことで鑑賞者の感情や心理を揺さぶるものが多くあります。「チアリング タイフーン」(2009)という映像作品では、背景に流れるハイテンションの声に押されるかのように、チアリーディングのボンボンを目的もなくひたすら振り続ける一人の男が映されます。映像が流れるモニターの前には実際に一組のボンボンが置かれ、鑑賞者はそれを手に取り、無目的な応援を促されます。 また、「ごきげんよう」(2010)と題したインスタレーション作品では、書き割りのような家の外装の絵が描かれた空間にナレーションが流れる中、鑑賞者は台本を渡され、そこに書かれた台詞を読み上げることを強要されているかのようなシチュエーションに投げ込まれます。 こうした作品空間を舞台装置とながら、原田は、見る側といういわば安全な位置にいる鑑賞者を、見られる側という不安定な存在へと変換しようと試みます。鑑賞者は、違和感を感じながらも原田の作り出した不自然な状況や時間の流れに身を任せることで、そこから生まれてくる、可笑しさ、虚しさ、くだらなさ、といった人間の抱える根源的な感情と向き合うことになるのです。 原田の鋭い観察力と豊かな表現力によって生み出される一風変わった作品世界、是非この機会に多くの方々に 実際に体験していただきたいと思います。 ■ 7月30日 (土) 19:00~ ■ 8月5日 (金) 20:00~ ■ 8月7日 (日) 15:00~ 全文提供: Art Center Ongoing 会期: 2011年7月27日(水)-2011年8月7日(日) |
最終更新 2011年 7月 27日 |