New Artists 2011-笹井青依/宮本ひかり |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 7月 23日 |
笹井青依《twin myrica》2011年 | キャンバスに油彩 | 130.0 × 194.0 cm | Copyright© Aoi Sasai | 画像提供:Gallery Jin Projects 若手作家による2人展。 道すがら目にした木や花や建物を眺めながら、自分の見ているものはいったい何なのか考えるところから制作が始まります」(笹井) 笹井の作品のモチーフは、一見して植物を、あるいは岩山や家を描いていると認識できます。作家自身が言うように、それらは「日常生活の中で出会った光景」に基づいており、なるほど曇り空の下に切り取られた風景にも見えます。しかし、それ以上に、グレーの背景やデフォルメされた枝葉が抽象的な空間を感じさせもするでしょう。さらに、奥行きの捉えにくさや、光の効果等が相俟って、一本の木のスタジオ撮影を見せられているような奇妙な印象を作り出しています。 「体を笊みたいにして残っているものをできるだけ拾いたいと思っています」と言う宮本の作品には、格子のイメージが度々登場します。格子の目は大小様々にたわみ、その向こう側や目の間には色彩が見え隠れし、あるいは格子を飲み込む勢いで迫ってきます。これらは「笊」というキーワードと重なりますが、そこに見え隠れするイメージは「漉されたもの」というよりも、いびつな網に絡め捕られた、玉石混淆の渦といった趣です。作家の「笊」もまた、目の揃ったそれではなく、いびつなものであるからこそ、私たちはシンパシーを感じられるのかもしれません。 彼女たちの絵画は、まさしく素朴な「絵画」であり、何ら主張するマテリアルはありません。それぞれのアプローチで愚直に絵画であり続けることによって、作品に説得力を持たせています。 笹井青依 宮本ひかり 全文提供: Gallery Jin Projects 会期: 2011年7月23日(土)-2011年8月21日(日)※夏期休廊:8月7日-16日 |
最終更新 2011年 7月 23日 |