中野里映:Touch me, if you can |
展覧会
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執筆: 記事中参照
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公開日: 2011年 7月 19日 |
作家ステートメント この部屋で留守番をお願いされました。 お茶を飲んでゆったりしていればいいし、電話が掛かってきたら用件だけ聞いておいてほしいと言われました。
すみません、それ出来ません。
Touch me , if you can.
遠くの山を見たとき、空の星を見たとき、私はそれらがそこにあることを認識しようとします。しかし私はそれらを触ったことがありません。それでも、遠く彼方にはそれらがあるのだという確信が当然のようにあります。
輪郭がない、そこにあるのに手が届かない、故に手でかたちをなぞることが出来ない。 そういった状況下で行われる、埋もれたイメージを視覚によって掘り探す行為やその場所にあるものをただ見つめる行為を、たとえ物質的な距離が埋まらなくとも私は身の回りのものを自分のそばへ引き寄せるための実験として試みたいのです。
ものを認識することと視覚(感覚)との間柄は、どこまでも興味深く、何度も現れます。 感覚に伴う「 慣れ」、注意深さ、記憶、体験、色彩、言語機能など、専門的に複雑な構造があると推測しながらも、まずはこの見るという純粋な行為から、私たちの感性をとき放つことができれば、とも想像します。これまで中野里映が提示する「もの」に、何度「触りたい」と思ったことでしょう。映像、オブジェクトの作品を前に、どこか見覚え、聞き覚えがあるようなお ぼつかなさ、見るに留まらず手を伸ばしたくなる理由を考えると「確認したくなる」という言葉が浮遊し、再考・再読の循環が滑らかにめぐりだします。本展に 付されたタイトルは『Touch me , if you can.』。既にここから展覧会のドアが開かれました。ぜひ会場へお出かけいただければと思います。ご来廊を、お待ちしております。
中野里映 1985年 京都府に生まれる。 2009年 大阪教育大学 教養学科 芸術専攻 美術コース 卒業 2007年 ワークショップ「ぼくらはみんな服き隊」参加(大阪市立住まいのミュージアム 大阪くらしの今昔館 / 大阪) 2008年 神々への捧げものART COMPETITION( 平安神宮境内 / 京都 ) 凸展( 海岸通ギャラリー・CASO / 大阪 ) 2009年 大阪教育大学教養学科芸術専攻美術コース 卒業制作展( 海岸通ギャラリー・CASO /大阪 ) DOOR 2009( Port Gallery T / 大阪 ) 2010年 DOOR to DOOR 2010( Port Gallery T / 大阪 )
全文提供: Port Gallery T
会期: 2011年7月18日(月・祝)-2011年7月30日(土) 会場: Port Gallery T
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最終更新 2011年 7月 18日 |