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展覧会
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執筆: 記事中参照
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公開日: 2011年 7月 02日 |
今回、ある廃墟をモチーフに作品を一つ描いた。 以前は確かに建物として機能していたそれは、今では誰かが住むことも取り壊されることもなく、あらゆる生死を奪われた亡霊のようにひっそりと建っていた。 そして無目的にその形だけをとどめながら、それ以上の意味を持たずただ存在しているように感じた。 何者でもないもの。そういったニュートラルな存在、現象に最近興味がある。
鈴木祥充 Suzuki Yoshimitsu 1988 年 静岡県生まれ 現在 京都造形芸術大学院 修士課程芸術表現専攻2年 在籍
グループ展 2010「 ISE cultural foundation 日米学生展」 ( Ise Cultural Foundation NY gallery / ニューヨーク) 「oz」 ( ギャラリーi / 京都 ) 「春雷」 ( Art Project room ARTZONE/ 京都) 2009「 A-CTION 2009」 ( ギャラリーオーブ/ 京都) 「Kyoto Current 展」 ( 京都市美術館別館/ 京都) 「めばえ 学科優秀作品選抜展」 ( ギャラリーオーブ/ 京都) 「ミツツ- 観察による可能性-」 ( art project room ARTZONE/ 京都)
個展 2011「 鈴木祥充展」 ( 2kw gallery / 大阪)
全文提供: ギャラリー恵風
会期: 2011年7月5日(火)-2011年7月17日(日) 会場: ギャラリー恵風
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最終更新 2011年 7月 05日 |
編集部ノート 執筆:平田 剛志
今年1月に大阪・2kw galleryで個展を開催した鈴木祥充の2回目の個展。カラフルなサテン地にシャンデリアやバイク、メリーゴーランドなどが点描によって描かれた作品が並んだ前回展から一転、今展ではモノクロームの地に植物や廃墟の光景が描かれる。
なかでも黒い画面に花びらや植物が同系色で描かれる絵画は、暗闇のなかから浮かび上がるような存在感がある。離れて見ると黒い画面にしか見えないが、近づくとイメージが形成される絵画面は、鑑賞者の眼の介在によってこそ成立する作品だろう。
ドットや点描を用いた絵画表現の系譜はスーラやリキテンシュタインなどが想起されるが、鈴木の絵画はドットの集積がイメージを立ち上げる淡い境界域を描き出す試みとして注目したい。