ライアン・ガンダーのキュレーションによる海外作家6名のグループ展。
リアム・ギリック | Liam Gillick 1964年イギリス、アイルスベリー生まれ。現在はロンドンおよびニューヨークにて制作活動。 90年代初頭に台頭したYBA(Young British Artists)世代作家の一人。ミニマル・アート、カラーフィールド・ペインティング、オプ・アート等の潮流を自身の制作の土台としながら、より複合的な手法で作品を展開。本展では、テキストを用いたアルミのカットアウト作品に加え、新作「Inside now, we walked into a room with Seven-Up coloured walls」を出品する。1998年に本作の「Coca-cola」版を発表。記憶を手繰りながら炭酸飲料水「Seven-Up」の液体の色を調色せよ、というギリックの指示に従い現地制作されるウォールペインティング。曖昧な記憶から新たなイメージが生まれ、見る者にさらなる連想を促す。
コーネリア・パーカー | Conelia Parker 1956年イギリス、チェシャー生まれ。現在はロンドンにて制作活動。 爆破や粉砕といった暴力的な破壊行為により対象から意味役割を剥奪し、モノが内包する別の側面を見る者に呈示する。本展では毒薬と解毒剤を用いたドローイング、弾頭を編み込んだコラージュ、銀食器を用いた新作立体作品を展示。過去には、庭に落下した隕石を故郷へ戻すためにNASAへその欠片を託す、というプロジェクトを作品化している。壮大なスケールのなかにもロマンティックなストーリーが組み込まれた本作は、見る者の想像に結末が委ねられ、各々のなかに新たな神話を生み出す。
シール・フロイヤー | Ceal Floyer 1968年パキスタン、カラチ生まれ。現在はベルリンにて制作活動。2009年ナム・ジュン・パイク・アートセンター賞受賞。 日用品に最低限の手を加えることで、ミニマリスティックかつユーモアの漂う作品を主に発表してきた。本展では1999年、日本滞在中に制作した「Monochrome till receipt (White)」を再展示。「白」というルールに従って買い物をし印刷されたレシートは、一人一人の想像のなかで描かれるコンセプチュアルな絵画作品ともいえるだろう。写真インスタレーション作品もあわせて展示する。
コリー・アーケンジェル | Cory Arcangel 1978年アメリカ、ニューヨーク生まれ。現在ニューヨークにて制作活動。 「Whitney Biennale 2004」に選出され、ビデオゲーム「スーパーマリオブラザーズ」のカセットを改造し、背景に描かれた雲のみを抽出したビデオ・インスタレーションで一躍脚光を浴びた。ほかにもサイモン&ガーファンクルのミュージック・ビデオなど、世界的に知られるカルチャーアイコンを引用し再編集した映像作品や音楽パフォーマンスなど、ポップカルチャーの引用とデジタルリミックスを作風とする。本展覧会では新作の立体およびドローイング作品を出品。
ダン・フォー | Danh Vo 1975年ベトナム、サイゴン生まれ。現在はベルリンにて制作活動。 ベトナム共和国崩壊直後に生まれ、家族でデンマークへ亡命した出自を持つフォーは、自身や家族、そしてベトナム国家と民族の歴史に基づいた作品を発表してきた。写真やテキスト、歴史の残留物としてのオブジェクトなどを組み合わせたインスタレーションで知られる。2008年横浜トリエンナーレに参加。2009年Kunsthalle Basel にて大規模個展「Where the Lions Are」を開催。ベトナム和平パリ協定締結の場に飾られたシャンデリアを用いた作品で、世界のアートシーンから注目を集めた。本展覧会では、自由の女神像を主題とした進行中のプロジェクトからの作品を展示予定。
サイモン・フジワラ | Simon Fujiwara 1982年イギリス、ロンドン生まれ。現在はロンドンおよびベルリンにて制作活動。イギリス人の母親と日本人の父親との間に生まれる。 Frieze Art Fair 2010にて発表の、架空の遺跡発掘場を出現させた大規模インスタレーション「Frozen」が評判を呼んだ。フジワラは史実に基づく新たな架空の物語を創出し、パフォーマンス、小説、レクチャーやインスタレーションといった手法で作品を発表。性/歴史のマイノリティと見なされる人々がしばしば取り上げられる。本展覧会では、中世紀にメキシコでつくられた引き出しを使用した、新作の立体作品を発表の予定。またフジワラ作品のモチーフである、1970年代スペインにおける同性愛者たちをテーマに扱った新作コラージュもあわせて出品する。
《キュレーション》 ライアン・ガンダー | Ryan Gander 1976年イギリス、チェスター生まれ。現在はロンドンにて制作活動。 ガンダーの作品はアート、デザイン、建築、ポップカルチャー等が織りなす重層的な構造が特徴。現代に生きる我々のリアリティを題材に、世界を読み解くための「考えるための装置」として、いつしか見る人を普遍的かつ抽象的な思考の冒険に誘い込んでいく。新しいコンセプチュアルアートの旗手として世界のアートシーンで注目を集めている。作品発表のみならず、本展覧会のようなキュレーションも数多く手がけている。 日本国内では2010年のサントリー美術館天保山でのグループ展参加、2011年には太宰府天満宮アートプログラムでの個展開催のほか、沖縄県立美術博物館で小個展を開催。今夏は横浜トリエンナーレ2011へ参加、1223現代絵画(東京)で個展を開催する。
全文提供: TARO NASU
会期: 2011年7月7日(木)-2011年8月6日(土) 会場: TARO NASU
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