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フレンチ・ウィンドウ展:デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線
編集部ノート
執筆: 田中 麻帆   
公開日: 2011年 6月 22日

ブリュノ・ペナド《大きな一つの世界》2000年|所蔵:ポワトゥーシャラント地域現代芸術振興基金|Photo:Christian Vignaud

「マルセル・デュシャン賞」とは、フランスのコレクター団体ADIAFが主催する現代美術賞。その10周年を記念した本展はデュシャンの代表作「フレンチ・ウィンドウ」を冠するタイトルの通り、軽妙洒脱でユーモア溢れる「窓」となって観者を色とりどりの景色へと誘う。最初の展示室でデュシャンの代表作を紹介したのち、各セクションに「窓からの眺め」「時空の窓」「こころの窓」「窓の内側」と4つのテーマを設け、キャプションにはわかりやすい解説文を載せている。初心者でも現代美術の父デュシャンから今日の作家に受け継がれてきたエッセンスを感じ取ることができるだろう。

震災の影響で多くが展示出来なくなったとはいえ作品の配置は効果的で、空間をゆったりと使って鑑賞することができる。日用品を美術作品として新たに見出したデュシャンの着想は、室内装飾と美術の融合とも言えるフォーゲの作品や、ポップな軽妙さとアイロニーを感じさせるペナド、ヒルシュホーンらの作品。更には、虚を突かれた時の笑いのような感覚を引き出すアフィフ、ラメットらの作品など、そこかしこに息づいていた。

実際のコレクターのアパルトマンに飾られている作品を部屋ごと再現したセクションもあり、様々な「窓」から新しい発見をした後この部屋に入ると、美術作品が遠い別世界の存在ではなく、私達の日常を彩り元気づけ、時に癒す栄養なのだと思えてくる。

最終更新 2015年 11月 02日
 

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