山田麻美:some times |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 6月 20日 |
すぐそこにあるような既製品で、ありふれた風景を転覆させてみる。 山田麻美(やまだまみ) 全文提供: workroom*A 会期: 2011年6月27日(月)-2011年7月9日(土) |
最終更新 2011年 6月 27日 |
「時よ止まれ、お前は美しい」とは、ゲーテの『ファウスト』の一節だが、現実に時は止まらない。だが、山田麻美はさまざまな手法により目に見えない時間を捕獲し視覚化する。
冷凍庫で凍らせられた時計、真空パックされた時計など、時計をモチーフにした作品が並ぶ。デュシャンのような遊び心が感じられる作品が多いが、中でもスキャナーで時計をスキャンした写真作品は、時の一瞬間を捕獲したイメージとして鮮烈だ。
目に見えない時間をどう捕まえるのか。手品のような、鮮やかな手つきによって現れる「some times」が、現実の「時」を忘れさせる。藤本由紀夫作品が好きな方にはとくにおすすめしたい。
なお、作品カタログも兼ねた展覧会DMも山田の世界観を反映した優れたデザインとなっている。このDMカタログは、グラシン紙のオモテ面に作品タイトルが反転して印刷され、ウラ面には作品図版のシルエットが印刷されることで、紙を透して作品のシルエットの向こう側に作品タイトルが浮かび上がる構造となっている。紙の薄さと青のインクの厚みが微かに感じられる繊細かつ美しいデザインだ。