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あるべきようわ 三嶋りつ惠展
編集部ノート
執筆: 田中 みずき   
公開日: 2011年 6月 12日

《SPIN》2009年
Photo by Francesco Barasciutti
画像提供:資生堂ギャラリー

ギャラリーへと向う階段から、展示は始まっている。

ぐにゃりと螺旋が重なったガラスの器と共に目に入るのは、地上階から地下へと繋がる吹き抜けを貫く、繊細なガラスの塔だ。水が糸を伝うような様が地下階からの光を受け止め、美しさに息を呑む。その後、地下に降りきると、壁で囲まれた細い通路のようなスペースが用意され、奥には祭壇のような三面鏡を使った作品が設置されている。

通路を抜けると、急に天井の高い開けた空間があり、見上げるような大きな正方形の台の上に、光を湛えたガラス作品が沢山並ぶ。台は2段構造になっており、作品は上段のみに並べられている。低い台に鑑賞者が上ると、作品が目線の高さにくる。形はもちろん、ガラスの光の反射によって、水滴のようだったり、月のように見えたり、その多様な姿に驚かされる。作品を観ながら、会場入口で渡される図入りの作品リストと照らし合わせる体験は、標本箱を観る楽しさに通じるだろう。このほか、直線のカッティングを施したのかと思わせるような小作品などもある。ギャラリーの空間を非常に効果的に使った展示と、洞窟の中で出会う光のような、美しいガラスを全身で楽しめる展覧会だ。

最終更新 2015年 11月 01日
 

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