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高橋将貴:装備(equipment)
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2011年 6月 02日

《guitarist》2011年
plaster, acrylic|h. 29.0 × w. 18.0 × d. 18.0 cm
画像提供:ギャラリーゼロ
Copyright © Takahashi Masaki

人と会ったとき、その人のなにを記憶するだろうか。声や体型、髪型も考えられるが、多くの場合その人が身につけている「もの」が記憶に残ることの方が多いのではないだろうか。

カウボーイハットをかぶった人、ヘッドホンをした人、マグカップをもつ人。白い背景に「装備」品ひとつを身につけ(持ち)たたずむ人物が描かれた絵画や彫刻作品が展示される高橋将貴の作品も、人物が中心モチーフと見えるかもしれない。

だが、高橋の作品は人が身につける「装備」にこそ関心があり、人物ではない。先の例で言うならば「カウボーイハット」、「ヘッドホン」、「マグカップ」が作品のモチーフであり、人物ではない。高橋の過去の作品を振りかえれば、ほとんどが白の背景に無表情・棒立ちの人物像が多く描かれているのも、人物ではなく衣装や制服を際立たせるための手法である。例えば、出品作品のひとつである日産自動車の「サニー」とその所有者らしき人物の彫刻作品も逆である。ここでは自動車がモチーフであり、人物はサニーの「装備」品なのである。

高橋はニュートラルな人物造形、細部まで巧妙に作り上げられた平均的なイメージとして「装備」を表象する。今展では、『Mug』(2011)において、初めてマグカップを持った右手が上がった状態で描かれ、「大きな動き」を見せる(マグカップを持って棒立ちの状態では、不自然だからだろう)。ものと人との関係性を表象して見せる高橋の新展開である。

最終更新 2015年 11月 01日
 

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