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PLATFORM2011:浜田涼・小林耕平・鮫島大輔 -距離 を はかる-
編集部ノート
執筆: 田中 みずき   
公開日: 2011年 5月 23日

《2-9-1》2009年 video
run continuously in loop|12:44min
Courtesy of YAMAMOTO GENDAI

    ボールのような、真ん丸の球体に、住宅街や夜の街を描いた鮫島大輔。作品の回りをくるりと回りながら、一点透視法の遠近が球体でも成り立っていることに驚きつつ、作品をまじまじと見つめてしまう。目の前の、手でつかめそうな球体の中に全世界が映りこんでいるような錯覚。かと思うと、平面の絵画では、カバーで覆われた車などが描かれる。観てわかったつもりになったり、見えないものが描かれていたり、もどかしくて見つめてしまう。
    浜田涼は、ピントのぼやけた写真のような作品。カラーコピーやフィルムなどが使われているのももあれば、絵具で描かれたものもある。遠すぎてぼやけたり、動いていて見えなかったり、おぼろげなだったはずのものが画面に固定されているギャップにどきりとさせられる。
    小林耕平は、映像作品とインスタレーション・パフォーマンス。人影が幾何学的な線でできた空間で動き、位置関係があやふやになる作品や、作者のパフォーマンスとナレーションが噛み合いそうになりながらズレていく映像など、これもまた観ているつもりで観えていないような気にせさられる。鮫島、浜田、小林の三人とも、個々に表現は違いながら、おぼろげなものを固定しようとする姿勢が見えてきて面白い。観賞後、色々なものが見えなかったと思いながらも親近感を覚えてしまうのではないだろうか。

最終更新 2011年 5月 24日
 

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