昨年花をモチーフにした作品のみで個展を行った永瀬武志が、本展では「女性の顔」をテーマにドローイングを含めた新作約10点を発表します。実物のそれより遥かに拡大されてなお写真的リアリティを保つ永瀬の描く作品。エアブラシによってキャンバスに吹き付けられた塗料粒子の結晶としての「人物」に出会う時、鑑賞者の中には様々な思いが立ち現れる事でしょう。
その写実性を極めた技術への純粋な驚き 柔らかく深みある瞳と直面する事への戸惑い 生き生きとした表情が語るその人物のもつ文脈への共感
古典的な写実絵画における女性モデルは、その身体の客観的な「美しさ」を讃えますが、永瀬が描く女性からはその人物のもつ内面が滲み出るかのよう。自身と関係が深い人物をモデルにし、写真を撮り、作品化していく…そのプロセスには作家の視点、そしてモデルの視点も介入し、情緒的な何か、個人史的な何かが画面に入り込んでいく。永瀬の作品と対峙した時に起こる感情は、実際に「人物」に出会った時の、戸惑いや感動に似ているのかもしれません。
ただ、このような反応は決して意図的に生み出されているものでは無いと永瀬は言います。作家にとっては描くモデルの選択、その写真の特定やトリミングさえも、絵画表現の目的ではなく、あくまで客観的な設計図でしかありません。
それゆえ、永瀬の描く人物やその構図には幅があるのです。光の中に溶けていくような美しい横顔。顔をくしゃっと歪ませてその感情を真っ 直ぐに表現する笑顔。その多様な表現に、作家からの答えはありません。だからこそ人物としての「リアリティ」が画面に宿り、作品との「出会い」となりえるのでしょう。
永瀬武志 / Takeshi NAGASE 1979 埼玉県生まれ 2002 多摩美術大学 美術学部 絵画学科油画専攻卒業 2004 多摩美術大学大学院 美術研究科 絵画専攻修士課程修了
【個展】 2005 個展(GALLERY b.TOKYO / 東京) 2006 個展(GALLERY b.TOKYO / 東京) 2007 Life(YOKOI FINE ART / 東京) 2008 「曖昧な精密」(馬喰町ART+EAT / 東京) 2009 「real」(Bunkamura Gallery / 東京) 「super real」(YOKOI FINE ART / 東京) 2010 「blooming」(YOKOI FINE ART / 東京) 2011 「生きている-super painting-」(YOKOI FINE ART / 東京)
【グループ展等】 2006 Bunkamura Art Show 2006(Bunkamura Gallery / 東京) 2007 アートフェア東京2007(東京国際フォーラム / 東京) YOKOI FINE ARTオープニング展 『挑戦』(YOKOI FINE ART / 東京) Art in Dojima 2007(堂島ホテル/ 大阪) ART BEIJING 2007(National Agricultural Exhibition Center / 北京) 東京コンテンポラリーアートフェア2007(東京美術倶楽部 / 東京) 2008 ART BEIJING 2008(National Agricultural Exhibition Center / 北京) 「Prologue Ⅳ」(gallery art point / 東京) 2009 ART TAIPEI 2009 (Taipei world trade center / 台北) 2010 ART TAIPEI 2010 (Taipei world trade center / 台北) quartet –コドウする絵画- (西武池袋本店 アート・ギャラリー / 東京)
【受賞】 2002 多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業制作 福沢一郎賞受賞 トーキョーワンダーウォール2002 入選
※全文提供: YOKOI FINE ART
会期: 2011年6月3日(金)-2011年6月25日(土) 会場: YOKOI FINE ART
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