増井淑乃:グッバイヘイロー |
編集部ノート |
執筆: 平田 剛志 |
公開日: 2011年 5月 04日 |
やわらかな色彩を背景に馬や猫などの動物が小さな点景として描かれる増井淑乃の京都初個展。 水彩のやわらかい色彩が新緑の木々のような明るさと透明感を湛えて魅力的だが、近づいて見ると緻密な線描の集積によって描かれていることがわかる。その細かな線描は草間彌生の作品を思わせもするが、増井の絵画にオブセッショナルな要素はあまり感じられない。むしろ集積するほどに、解放されていくような絵画空間の広がりがある。 タイトルの「グッバイヘイロー(Goodbye Halo)」とは、アメリカで活躍した牝の競走馬の名前である。引退後、繁殖牝馬として日本に輸入されたが、現在は繁殖牝馬としても引退し、北海道の牧場で余生を送っているという。増井の描く動物たちもまたユートピア的な世界で余生を送っているのかもしれない。増井の絵画はそんな想像へと誘う。 |
最終更新 2015年 11月 02日 |