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オラフ・ブルーニング:the art freaks
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2011年 5月 01日

Copyright© Olaf Breuning
画像提供:児玉画廊

絵画の多くはキャンヴァスや紙に描かれるが、人の身体に描かれることはそう多くはないだろう。ニューヨーク在住のスイス人アーティスト、オラフ・ブルーニングの『the art freaks』は、身体にボディペイントを施した人物を正面から撮影したポートレイト作品である。

ボディペイントを施された人物を見ていくと、さまざまな色や模様が描かれている。どれも有名な画家の作品を想起させる。例えば、モンドリアン、ピカソ、ポロック、ウォーホル・・。そう、これらの作品は、すべて著名な作家の作品イメージをボディペイントし、撮影された作品なのだ。

もちろん平面である絵画を人体にペイントする以上、そのすべては描けない。参照する作品・アーティストの特徴やイメージをどのように表現するのかに、オラフのシニカルな作品解釈・批評性が伺えて笑いを誘う。そして、鑑賞者が近現代のマスターピースを鑑賞しつつ、実際は男女の裸体を見ているという鑑賞行為は、美術鑑賞の滑稽さを潜ませているのではないだろうか。ちなみに、日本人作家では河原温、村上隆の作品が使用されている。どのようにボディペイントされたかは実際の会場でご覧いただきたい。鑑賞者のアートフリーク度が試される展覧会である。

また、2階スペースでは、映像作品『HOME』が上映されている。2面プロジェクションで上映される映像の1つは作家本人らしき人物が旅先のホテルで奇妙な振る舞いをする白黒の映像。もう1つはアメリカらしき郊外を舞台に、支離滅裂でふざけた振る舞いをする若者たちを写したカラー映像である。どちらもバカバカしい行為の数々が淡々と繰り広げられるが、先の読めない展開に惹きこまれてしまう。ハーモニー・コリンの映画が好きな人にはとくにおすすめしたい。

最終更新 2015年 11月 01日
 

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