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高橋涼子:liberation
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 4月 23日

《Beautiful bed room》2010年
マットレス、布、枕、作者の髪の毛で刺繍
70 x 200 x 150cm|群馬青年ビエンナーレ2010 出展作品
Copyright© Ryoko Takahashi
画像提供:ギャラリーモモ

高橋涼子は1980 年大阪府生まれ、2004 年京都精華大学芸術学部造形学科版画専攻を卒業、その後関西で継続して発表を続けて来ました。 関東では09 年のフランス大使館での展示や群馬青年ビエンナーレ2010 での展示が記憶に残り、今展は東京での初個展となります。

作品は人毛を素材として用い、その表現は刺繍やオブジェ、ドローイングやインスタレーションと多岐にわたります。人毛は必ずしも自ら のものではありませんが、高橋の手を通して紡ぎだされる作品は、素材を超えた女性らしい美しさと繊細さをそなえて、新たな造形物として 提示されます。

毛髪は、人と共にある時はその人の一部として命を保っていますが、切り落とされた瞬間から物として、あるいは不要なものとして本来の 意味を喪失していきます。そうした毛髪の一部は女性の髪の毛を補完するピースとしての役割を持つこともありますが、大半は捨てられる運 命にあり、時には死をも予感させます。

高橋はそうした役割を終えた毛髪をアートとして再生させ、新たな命を吹き込むことに成功させました。それはあたかも命の再生を見るか のようであり、自らの命から離れたものへの鎮魂のようにも見えます。 命の再生といつくしみを持って制作を続けることで、解き放たれる感性を今展で感受していただければさいわいです。

今展では大阪で展示された旧作を含め、インスタレーション、人毛を使った絵画作品と2011 年に制作した新作を含めた展示になります。 東京での本格的な発表をぜひご高覧下さい。

作家コメント
髪の毛を使い始めて7年になる。
髪の毛は私の体から分裂し、私の分身となって私の足りない部分を埋めてくれている。
私が思う髪の毛は、そのあわせ持つ意味や物質的に考えて常に正と負を行き来している、たとえば美しくも汚くも感じさせるような、不安定で両極を同時に持っている危ういものという意識がある。
私は、その不思議なバランスの中に浮かび上がるかたちのないものに、気持ち良さを感じる。
それは一度通り過ぎた時間をさかのぼり彷徨っているようで、つかみどころがない。その感覚を表現できればと思う。
さらに、私自身の内にあるフィルターを通して自分と髪の毛の関係を探り、私の頭の中で起こった反応にかたちをつけたい。
ふらふらと、どこにも属して、どこにも属さない、宙に浮かぶようなものを作りたい。
心を自由にすること。 私はきっと、髪の毛によって解放されてる。

高橋涼子
1980 大阪府生まれ
2004 京都精華大学芸術学部造形学科版画専攻 卒業
現在、東京都在住

個展
2006 shin-bi( 京都)
2007   ANEWAL Gallery( 京都)
2008 studio J( 大阪) 09' , 10'

主なグループ展
2004 「木野プリント展」 平安画廊( 京都)
「5 人展」 ギャラリーアーティスロング(京都)
2005 「アートとスポーツの祭典 ReOLYMPIC」 海岸通ギャラリーCASO 築地赤レンガ倉庫 (大阪)
「藝術家の線」 石田大成社ホール( 京都)
2006 「AMUSE ART JAM 2006」京都文化博物館( 京都)
2007 「Brilliant Works 」ARTZONE( 京都)
「第8回SICF」スパイラル(東京)
「主張てん」ギャラリーアーティスロング (京都)
「伊丹国際クラフト展」伊丹市立工芸センター (兵庫)
「AMUSE ART JAM 2007」 京都文化博物館( 京都)
2008 「MiArt 2008」 Fiera Milano International( ミラノ)
2009 「ECHO TOUR 09」京都府庁旧本館(京都)
「京都現世美術館2009」建仁寺境内 禅居庵( 京都)
「Art Works」studio J( 大阪)
「Vantan Tokyo」Galerie eof( パリ)
「Voalà Vantan !」フランス大使館(京都)
2010 「群馬青年ビエンナーレ 2010」群馬県立近代美術館(群馬)

受賞
2007 伊丹国際クラフト展 審査員賞
AMUSEARTJAM2007 準グランプリ

※全文提供:ギャラリーモモ


会期: 2011年6月25日(土)-2011年7月23日(土)
会場: ギャラリーモモ両国
オープニングレセプション: 2011年6月25日(土)18:00 - 20:00

最終更新 2011年 6月 25日
 

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