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KYOTO OPEN STUDIO 2011
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 4月 19日

淀 会場風景より
画像提供:KYOTO OPEN STUDIO 実行委員会

-京都、アートの現場へ
「KYOTO OPEN STUDIO 2011」は、京都市内に点在している、作家が自主的に運営するスタジオを会期中のみ一般公開する、制作現場での同時開催展覧会。

京都には、作家たちが作品を発信するために拠点としているスタジオが点在しています。KYOTO OPEN STUDIO 2011 は、それらのスタジオを同時期に一般公開し、アートが生み出される「現場」を来場者に感じてもらうと共に、スタジオとさまざまな人とのつながりを築くことを目指します。制作現場へ実際に足を運び、作家や作品に触れることで、美術館やギャラリーでの鑑賞とは違った鑑賞者と作家や作品との新たな関係が生み出されることでしょう。

【スタジオ紹介】
G Art Studio
京都府京都市北区上賀狭間町17-6 1F
〈 所属作家〉 岸本 寛興、児玉 真人、山本 桃子
「G Art Studio」は4 人の共同スタジオとして2009 年に始動しました。現在は欠員のため3 人で使用していますが、素寒貧ぎみのためスタジオメンバー募集中です。20 坪というそこそこのスペースで、工夫と思いやりを駆使し、金属・木材・樹脂など様々な素材を扱い、立体、平面、デザインなど様々なジャンルで表現活動に励んでいます。エレガントでクールな作品に憧れながら、地道にまじめな作家たち。オーガニックライフが可能な自然に囲まれ、ケミカルな素材を扱う若手アーティストの共同スタジオです。「G Art Studio」略して「GAS」の成分は、遊び心と、努力の混合ガスかも知れません。

SoM
京都市南区上鳥羽岩ノ本町64-6
〈 所属作家〉 田中 幹
2011 年5 月、SoM をオープンします。伏見や桂からもほど近い京都市南部に位置するSoM は、田中幹が自宅の一角を改装し設けた制作スタジオです。その名は「The Studio of Motoki TANAKA」の略称として付されました。またそれ以外にも「Self-Organizing Model」や「双務」といった意味を含みます。つまりSoM は田中個人の制作室であるのと同時に、出入りする人びとと濃密な関係を築くための場となることを目指しています。そのため今後は作品展示だけに留まらない幅広い活動を実施して参ります。自らが生まれ育った環境で制作を続けること、そしてそこにはあらゆる人びとが関係するということ。アーティスト自身のプライベートとオフィシャルを組み合わせたスタイル、それがSoM です。

studio90
京都市南区久世大藪町490-1-3
〈 所属作家〉 泉 洋平、田中 真吾、森川 穣
2008 年1 月、私共は京都市久世にstudio90 を立ち上げました。studio90 とは、私共の制作空間と共に、ギャラリー空間を併せ持ち、実験的な作品展示等、さまざまな展開を行っていくスタジオです。決して広いとは言えませんが、このスタジオを拠点として、自らアクションを起こし、社会と繋がっていければと考えています。

TAKAHASHI KOHEI STUDIO&ROOMS
京都市北区紫野東泉堂町18-4 志田テラスハウス3
〈 所属作家〉 高橋耕平
TAKAHASHI KOHEI STUDIO&ROOMS は、高橋耕平個人の住居兼作業場です。縦に細長く3フロアに区切られた建物の下階の空間を主な作業場として使用しています。中階は玄関&書庫とリビングダイニングに、上階は寝室等の生活空間になっていますが、それぞれ場合に応じて制作場所に変わります。1 人の作家の日常が至る所に表象されている場所がTAKAHASHI KOHEI STUDIO&ROOMS です。


京都市伏見区横大路一本木24-6 淀工業団地内
〈 所属作家〉 おかひろし、亀井洋一郎、林 大作、北條裕人、森彩華、安田知司、矢津吉隆
「淀」は京都市伏見区に在る共同スタジオです。スタジオは鉄工所や機械部品工場の立ち並ぶ工業団地に位置しており、その土地と建物には、 脈々と受け継がれてきた力強い創作の空気が満ちています。2010 年 5 月。そういう空気に引き寄せられて私たちは集い、「淀」は動き始めました。日常から隔てられた特異点の ような環境で、多様な感性が交わり、揺さぶられ、溶け込み、 反応する。そうした創作の現場が「淀」の在り方だと考えます。

アトリエ家ー
京都市 北区 紫野 中柏野町22-14
た元染め工場。数回のメンバーの入れ替わりを経て、2010 年から現メンバーでシェア。制作やミーティング、勉強会、他府県からの作家を迎えゲストルームとしても活用している。メンバー同士、周辺の様々な作家を巻き込みながら、グループ展を企画運営したり、ヴィジュアルBOOK を制作するなど、人との関わり/繋がりをベースに、有機的に活動の幅を広げている。毎年恒例「お正月の餅つき大会」を近くの公園で催し、今年はご近所の方達の参加のほか、香川や埼玉、東京からも作家仲間達が駆けつけた。今回のオープンスタジオでは、以前このアトリエを使用していたアートユニットwah document や西絢香たちの作品も展示する予定です。

studio gris
東山区今熊野宝蔵町
現在東山区今熊野にある古い一軒家を、陶芸のアトリエとして弟と借りています。 私はオブジェを主に半磁器で制作しており、弟は土もので食器を制作しています。

※全文提供: KYOTO OPEN STUDIO 実行委員会


会期: 2011年5月20日(金)-2011年5月29日(日)の金、土、日曜日
会場: G Art Studio、TAKAHASHI KOHEI STUDIO&ROOMS、アトリエ家―、SoM、studio90、淀、studio gris
公式ウェブサイト: http://kyoto-openstudio2011.tumblr.com

最終更新 2011年 5月 20日
 

編集部ノート    執筆:平田 剛志


淀 会場風景より
画像提供:KYOTO OPEN STUDIO 実行委員会

    美術大学が多い京都では、アーティストが自主的に運営するスタジオが各所に点在している。スタジオのなかには町家や倉庫をリノベーションするなどのケースもあり、さまざまなスタジオの運営・活動形態がある。現在、それら京都市内に点在する一部のスタジオを会期中のみ一般公開する同時開催展覧会「Kyoto Open Studio 2011」が開催されている。
    昨年あたりから京都では「オープンスタジオ」と題したイベントが定期的に開催されているが、今展はAntenna media企画により、G Art Studio、TAKAHASHI KOHEI STUDIO & ROOMS、アトリエ家―、SoM、studio90、淀、studio grisの7つのスタジオが参加している。スタジオごとに個性ある展示や建物、仕事場の様子など、普段は見ることができない制作現場を通して、アートが生まれる現場を体感することができる。また、スタジオを利用するアーティストの空間の使い方には、それぞれの個性や美意識、DIY精神が表れており興味深い。アートの現場を体験することで、自分の部屋や仕事場の参考にしたり、あるいは美術大学に在学中の美大性、進学希望の高校生(修学旅行生)なら、将来の自分を見るかもしれない。
    なお、各アトリエの多くは住宅街の中にあるため、京都府外から訪れる方は地図を持参することをおすすめする(会期・開場時間がスタジオごとに異なるので事前に要確認)。生活と距離が近いスタジオの立地は、観光地とは異なる京都の姿を見せてくれるだろう。また、作家から直接話を聞いたりするなど交流をすることで、アートやアーティストの存在を生活レベルで感じる機会としてほしい。


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