堂東由佳:呑気な時間、嫌な予感 |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2011年 3月 28日 |
2011年京都市立芸大大学院修了の堂東由佳による初個展となります。 その作品はシルクスクリーンの技法により、画面には半ばキャラクター化されたネコ、ニワトリ、タマゴなどが細かく密集して描かれています。近くに寄って見た場合、それらのひとつひとつが醸し出す滑稽なイメージを楽しむことができ、それも魅力の一つですが、引いて見た場合には、個々のキャラクターのパターンが生み出す装飾的な画面の全体には、部分の総和とはまた異なるそれ自体の特性が現れ別の魅力を発揮しています。近づいて細部に入り込んだり、また、距離をとって眺めるようにして鑑賞して頂けたらと存じます。 堂東由佳 ※全文提供: GALLERY IND. 会期: 2011年5月13日(金)-2011年6月5日(日) |
最終更新 2011年 5月 13日 |
嘔吐する猫、下痢する猫、発熱する猫・・・。かわいらしいはずの猫が苦しんでいる。それも画面いっぱいに埋め尽くされたすべての猫が同じような症状なのである。遠目に見ると紋様や装飾的パターンを思わせる図像の連続と反復だが、近づいて見れば大量の苦しむ猫を発見することになる予想を裏切る「発見」にユーモアがある。
これら大量の猫のイメージはコピー&ペーストによって制作されたものだという。つまり、画面に描かれるイメージすべてを描いてはおらず、一部の画面を反復ないしは、変型・加工することで制作されているのだ。また、A4サイズほどの小さな作品では、余白を生かした落書き風なタッチで猫が描かれているが、こちらもコピー&ペーストにより、一部のイメージに圧縮や変形を加えることで、制作されている。
モチーフは同じであるにも関わらず、同じものに見えないのは、過剰に増殖されたイメージの反復さゆえだろうか。