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ARTZONE SELECTION 2011
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 3月 22日

展覧会イメージ
画像提供:art project room ARTZONE

『ARTZONE SELECTION』とは、スタッフが推薦する複数のアーティストによる、オムニバス形式の展覧会です。ARTZONE ならではの実験的な企画・展示、異なるジャンルのアーティストがコラボレーションを行うことで、アーティ スト自身の新たな可能性を探り、またARTZONE のポテンシャルを引き出していくことを目的としています。

今年は、画家のいちかわともこ(推薦:小林稜治)と版画家の科野和子(推薦:加藤彩世)による2 人展です。

いちかわともこは、“祈り”や“聖堂”などをモチーフに多用しながら、特定の宗教ではなく、各々の心の中にある個人的な「信仰」を呼び起こす作品を数多く制作しています。柔らかな色調と絵本のような素朴な画風が特徴で、その表現方法は絵画や陶芸、絵本など多岐にわたります。また、頭からすっぽりと布に包まれた人物が作中に頻繁に登場することから、オリジナルのマトリョーシカも制作しています。

一方の科野和子は、植物や昆虫、魚といった生物の一部をクローズアップしたかのような繊細な銅版画を主に制作 しています。 近年では、背景を黒一色にした作品をたて続けに発表。 緻密な線によって暗闇に描き出されるそれらは、私たちの奥底に眠る原始的な記憶や感情を思い起こさせ、まるで瞑想しているかのような感覚を与えてくれます。

ARTZONE スタッフの推薦により、今回、偶然に出会った2人ですが、お互いの作品の根底には不思議と共通するもの がありました。刻一刻と変化し、過ぎ去っていく日々。彼女らはそれを愛し、そこに生き、感じたことを作品へと織り 込んでいきます。

本展では、日々の生活のなかで積み重なっていく時間と記憶を「地層」として捉え、会場全体を「心のろ過装置」に見立てます。そして、私たちの日々の営みから生まれ、さまざまなイメージが複雑に絡み合う「感情」を透過させ、純化させていくことを試みます。1 階のガラス貼りの空間から、螺旋階段を登って2 階へ。夜から朝へ、そしてまた朝へと移り変わる時間と空間の中に佇む2 作家の作品は、静かに、確かに悲しみや憂いを明日を生きる力へと置き換えるきっかけを与えてくれることでしょう。

※全文提供: art project room ARTZONE


会期: 2011年4月29日(金・祝)-2011年5月15日(日)
会場: art project room ARTZONE

最終更新 2011年 4月 29日
 

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