編集部ノート
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執筆: 平田 剛志
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公開日: 2011年 3月 17日 |
福重明子の大阪初個展。2010年にノルウェー北極圏Mazeに3ヶ月間滞在し、その体験から生まれた作品が展示される。 マイナス40℃の厳しい寒さが続くノルウェー北極圏のMaze。その気候からMazeの民族であるサーミ人の独自の文化が営まれている。例えば、本展のタイトルになっている「Goahti(ゴアティ)」とは、雪原の中に立てるテントを意味する。この中で火を起こし、本を読んだり、考えごとをしたりするのだという。日本の東北地方に見られるかまくらに近いかもしれない。 本展では、シルクスクリーンとペンによって制作された作品が並ぶ。驚くのは、レイヤー上にシルクスクリーンの重ね方の多彩さである。白い紙に白の色彩がプリントされていたり、色の重なり具合から抽象的イメージと思っていたものが、具象的イメージだったり、線と線、色と色の重なりが、ゴアティに灯される火のように、鑑賞者にイメージがゆらゆらと浮かび上がってくる。 マイナス40℃の世界にインスパイアされて生まれた作品は、寒さより暖かさを伝えていた。
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最終更新 2011年 3月 22日 |