青木淳×杉戸洋:はっぱとはらっぱ |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2011年 2月 26日 |
2011年、青森県立美術館は開館5周年を迎えます。この節目の年に、美術館のハード、ソフト両面での可能性を最大限に活かし、今後の美術館活動の展望を切り開く、新しい形の展覧会を開催します。 青森県立美術館をはじめとする公共建築だけでなく個人住宅、商業施設など、多岐にわたって独創的な設計を行ない、高い評価を得てきた建築家・青木淳、絵画の新たなありようを提示し、国内外で注目されてきた画家・杉戸洋。 二人のアーティストが、青森県立美術館の空間の魅力をより強く引き出すことを共通の目標に、建築と美術の垣根をこえて理想的な展覧会を作り上げる、これまでにない趣向の建築展です。青森県立美術館の展示空間に未知の可能性を信じる建築家と、作品と空間の関係を突きつめてきた画家によるこの展覧会は、青森県立美術館の建築空間の魅力をあらためて私たちに示すとともに、これまでの美術館における展覧会のあり方に一石を投じるものとなるでしょう。 青木淳 あおき・じゅん 初期の代表作としては、プール施設「遊水館」(1993)、第8 回くまもと景観賞を受賞した「馬見原橋」(1995)、日本建築学会作品賞を受賞した「潟博物館」(1997)がある。「ルイ・ヴィトン 名古屋栄店」(1999)に始まる、「ルイ・ヴィトン 表参道店」(2002)、「ルイ・ヴィトン ニューヨーク フィフスアヴェニュー」(2004) など、ファッションブランド「ルイ・ヴィトン」の一連の店舗で取り組んだ設計では、モアレの効果を利用した知性あふれる瀟洒な外装が「ルイ・ヴィトンの顔を変えた」と言われる。 2000年に行われた青森県立美術館の設計競技では、393 件の応募の中から、最優秀賞に輝いた。青森県立美術館は2005年に竣工、翌年7 月に開館した。近年では、アートの領域にも活躍の幅を広げ、『現代美術への視点 連続と侵犯』展(2003、国立国際美術館)にアーティストとして参加し、2009年にはTaro Nasu 画廊(東京)で個展『夏休みの植物群』を開催した。また2010年春に竣工した集合住宅「Maison AoAo」(吉祥寺)では、彫刻家・青木野枝の作品を取り入れた設計が、大きな話題をよんだ。現在、「大宮前体育館」のプロジェクトが進行中。2004 年度芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。 著書・作品集 杉戸洋 すぎと・ひろし 美術家としての積極的な活動の展開は、90年代後半に入ってから。小山登美夫ギャラリー(96年~)、ケンジ・タキギャラリー(99年~)などでコンスタントに発表を続け、アメリカやヨーロッパのギャラリーでも個展を重ねている。98年VOCA 展奨励賞受賞。「既成の表現様式とはまったく無関係に、自己の感性を素朴なかたちで表現し」、「自己固有のイメージ世界をもっている」点が評価された。その翌年、時代と結びついたテーマで同時代のアーティストを紹介し、毎回話題をよぶ東京都現代美術館の「MOT アニュアル」シリーズの第1回、「ひそやかなラディカリズム」展(1999)に出品した。 アクリル絵具や顔料で塗られた淡く繊細な色彩が満たす広大な背景に、身の周りの 具体的な物から想を得た極小のモチーフを描き込み、特異なパースペクティブを構築する杉戸の絵画。現実の延長の中に異空間を描き出すことで、絵の新たなありようを提示してきた。近年では、ヴァンジ彫刻庭園美術館(2006)、テキサスのフォートワース美術館で(2006)個展を開催。「第8 回イスタンブールビエンナーレ」(2003)、「第7 回光州ビエンナーレ」(2008)などの国際展に日本を代表するアーティストとして選ばれるとともに、原美術館「ウィンター・ガーデン:日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開」(2009)、国立国際美術館「絵画の庭」(2010)など、現代絵画の動向を分析する重要な展覧会に出品作家として名を連ねている。また、奈良美智との親交から弘前市吉井酒造煉瓦倉庫での「A to Z」展(2006)に参加。二年後には「シャギャーン」というユニット名で、奈良美智との実験的な共同制作による展覧会を開催している(ミサコ& ローゼンギャラリー、2008)。 作品は、東京都現代美術館、愛知県美術館、国立国際美術館などの国内の公立美術館や、サンフランシスコ近代美術館、エッセンのオルブリヒト・コレクションなど、海外の有数の現 代美術のコレクションに収められている。 作品集 ※全文提供: 青森県立美術館 会期: 2011年4月23日(土)-2011年6月12日(日) |
最終更新 2011年 4月 23日 |