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project N 44:吉田夏奈
編集部ノート
執筆: 田中 みずき   
公開日: 2011年 2月 28日

展示風景より
画像提供:東京オペラシティアートギャラリー

大抵の場合、人は山登りの最中に景色なんて観ていない。岩や泥に足をすくわれないように、地面を観るのがせいぜいだ。しかし吉田の生み出した100枚のパネルを並べた大パノラマを前にすると、人は踏みしめた山の地面も、周りを囲む山脈も、同時に感じることができるだろう。

会場となった長い廊下に連なるパネルに描かれているのは、クレヨンで描かれた線である。細かい線がきっちりと連なり、斜面を生み、岩の連脈を生み、大きな山が姿を現す。足元の地面は山全体に繋がっていたのかと気付かされるように、線で少しずつ捉えられた形が、しっかりとした大きな像を結ぶのが気持ち良い。広い景色の隅々にまで意識が飛んでいく感覚にクラクラしながら心地よくなっていく。圧倒される快感に浸りたい人にお勧めの展覧会。

最終更新 2015年 11月 04日
 

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