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河井美咲:えんぴつ体操
編集部ノート
執筆: 田中 みずき   
公開日: 2011年 2月 20日

Courtesy of the artist and Take Ninagawa
Copyright© Misaki Kawai

    展覧会タイトルに騙されてはいけない。「えんぴつ」と書かれていたので、鉛筆で描かれたドローイングかと思っていたら、画材は鉛筆ではなかった。ぜひ、現場で確かめて欲しい。鉛筆よりも濃淡もニュアンスも削ぎ落とされた画材が使われている。一筆書きのような単純な線で描かれているものたちは、小学生男子がノートに描いた落書きのような絵。壁にひしめく120枚の作品群は、猥雑で、脱力感に溢れ、小憎い。
    しかし、小学生男子と違うのは、そこにノスタルジックで普遍的な要素を見出し、作品に昇華している点だろう。画廊中央、オブジェに投影されたアニメーションでは、いつか誰かがノートの片隅に書いたような絵が生き生きと動き回る。自分がかつて描いた落書きも、閉じてしまったノートの中でこんな風に動いていたのではないかと錯覚させられてしまうだろう。
    展覧会タイトルの答えは、画廊をぐるりと囲む壁にある。最近使わなくなっていた鉛筆をまた握りたくなった。

最終更新 2011年 3月 02日
 

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