Exchange Tokyo→Osaka |
編集部ノート |
執筆: 平田 剛志 |
公開日: 2011年 2月 14日 |
東京のSanagi Fine Artsと大阪のThe Third Gallery Aya所属の作家がそれぞれ双方のギャラリーで交換展示をする共同企画。「Exchange Tokyo→Osaka」はSanagi Fine Arts所属の尾黒久美と西澤諭志が大阪のThe Third Gallery Ayaで展示を行う。 尾黒は栃木県出身でベルギー在住の写真家。正方形の画面の中に人物がシュールな構図で捉えられた写真だ。人物と背景の組み合わせが作り出すシャープな色彩、モデルの女性たちのどこかエロティックな姿態が物語性を感じさせ、目が離せない。 西澤は2007・2008年にキヤノン写真新世紀において佳作を受賞した写真家である。ソファ、テーブル、ブラインドや床など室内に置かれる家具やそれら日常空間を対象として、既に「そこにあるもの」を媒介に奇妙な「風景」写真を作り上げる。画面をよく見ると、壁に残るテープの痕、床の埃や塵、ブラインドの奥に微かに見える人影などが映り込み、鑑賞者を観察へと誘う。西澤は現実の光景を媒介にして、フィクションとリアルが混在する抽象的な風景へと鑑賞者を導く。 尾黒のミステリアスな空気が漂う軟質的な写真、西澤の無機質で奇妙な感覚を与える硬質的な写真は対象への切り取り方は異なるものの、写真が持つ演出性や空間性に対して、鑑賞者の感覚に漣を起こすだろう。 |
最終更新 2015年 11月 02日 |