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芸術写真の精華-日本のピクトリアリズム 珠玉の名品展
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 2月 10日

高山正隆「楽器を持つ女」1924 年 東京都写真美術館寄託

写真術は、発明された当初からその芸術性が模索され、19世紀後半には絵画を模倣することによって芸術性を確立しようとする「ピクトリアリズム(絵画主義)」が成立しました。日本でも明治時代中頃から、撮影技術の革新によって登場するアマチュア写真家たちが西欧の動向を取り込みながら“芸術”としての写真のあり方を模索しはじめます。その模索は、日本の伝統的な絵画と、受容したばかりの西洋絵画の両方を規範として、日本独自のピクトリアリズムの写真表現をかたちづくり ます。

大正時代に入ると、ゴム印画やブロムオイル印画といったピグメント印画法を駆使した作品や、ソフト・フォーカスの表現をもつ作品が数多く生み出されました。手工芸的なプリントワークを高度に駆使した一品制作の作品は、あるときはデリケートで精緻に、またあるときは豪放磊落(ごうほうらいらく)でユニークな表現を展開して、ピクトリアリズムを標榜する芸術写真として大きな潮流をつくります。この芸術写真は、写真の純粋性を追求する近代的写真が確立した時代、昭和のモダニズムの中にあって形を変えながら受け継がれてゆきます。

本展では、明治時代後半から1930年代までに制作された世界に誇りうる珠玉の名品約120 点と貴重な資料を一堂に集め、日本独自のピクトリアリズムの表現の精華を堪能していただきます。そこには近代化の中で獲得した日本人の感情がいかに変容し、いかに変容しなかったかの軌跡が浮かび上がってくるでしょう。

【展示作品および資料】
写真作品 (約120点)
黒川翠山、野島康三、小野隆太郎、吉野誠、日高長太郎、堺時雄、福森白洋、安井仲治、大久保好六、福原信三、福原路草、島村逢紅、梅阪鶯里、河野龍太郎、高山正隆、塩谷定好、廣井昇、小関庄太郎、田村榮、山本牧彦、岩佐保雄、有馬光城 ほか

資料 (約20点)
『写真例題集』『白陽』『銀の壺』などの芸術写真雑誌
『湖北印画法』飯田湖北、『天弓画集』などの写真集 ほか

【関連イベント】
特別講演会「日本のピクトリアリズム-写真史における位置をめぐって-」
出演者 竹葉丈(名古屋市美術館 学芸員)
蔦谷典子(島根県立美術館 学芸員)
堀宜雄(福島県立美術館 学芸員)
光田由里(渋谷区松濤美術館 学芸員)
金子隆一(東京都写真美術館 専門調査員)

日時 4 月16 日(土) 午後6 時半~午後8 時半
会場 1 階ホール
対象 展覧会チケットをお持ちの方
定員 190 名
受付 当日午前10時より当館1階受付にて整理番号付入場券を配布します。

ワークショップ「“雑巾がけ”を学ぶ」
「雑巾がけ」とは、主に大正時代に行われていた油彩絵具を使用する日本独自のピグメント印画法です。
講師 比田井一良(銀遊堂 プリンター)
日時 4 月23 日(土) 午前10 時~午後6 時
会場 1 階創作室(アトリエ)
対象 銀塩写真の専門技術をお持ちの方
定員 11 名(申込者多数の場合は抽選)
参加費 5,000 円
申込み メールまたはファックスのいずれかで、講座名、申込者の郵便番号、住所、氏名、連絡先(ファックスの場合はファックス番号)をご記入の上、下記までお送りください。※申込み締切り:4 月8 日(金)、東京都写真美術館ワークショップ係まで( このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください 、ファックス 03-3280-0033)

フロアレクチャー
会期中の第1・第3 金曜午後4 時より、担当学芸員による展示解説を行います。

※全文提供: 東京都写真美術館


会期: 2011年3月8日(火)- 2011年5月8日(日)
会場: 東京都写真美術館 3階展示室

最終更新 2011年 3月 08日
 

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