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映像をめぐる冒険vol.3:3Dヴィジョンズ-新たな表現を求めて-
編集部ノート
執筆: 平田 剛志   
公開日: 2011年 2月 10日

《故郷とは? ジュネーヴにて/Landing Home in Geneva》
藤幡 正樹 2005年
画像提供:東京都写真美術館

    映画『アバター』の大ヒットで3D映画元年と言われ、3Dテレビの発売も話題を呼んだ2010年。2011年も映画『トロン:レガシー』『グリーン・ホーネット』など、3D映画の大作が公開され、全国各地の映画館でも3D映画上映が普及してきている。また、任天堂による携帯型ゲーム機3DSの発売も近い。
    娯楽や映像経験の1つとして急激に定着してきたように見える3D[立体視]だが、実は170年の歴史をもつメディアである。その歴史について「立体的」におさらいできるのが本展である。展覧会は「立体視・浮遊する視覚」「メカニズムへの焦点」「新たな表現を求めて」の3章で構成され、3D[立体視]の歴史を辿ることができる。展示されるのは、19世紀から20世紀初めにかけての立体写真、立体視装置、3D映画のポスターや現代作家によるメディアテクノロジーや立体視を活用した作品である。これら展示品を概観すると写真、映像・映画、印刷物など、あらゆる媒体に3Dが活用され、栄枯盛衰を経ながら現在まで3Dが楽しまれてきたことがわかるだろう。
    本展の最大の魅力は、3D[立体視]を実際に体感できることにある。初期立体写真の展示ではステレオビュワーを使って見ることができるので、裸眼で立体視ができない人も挑戦してほしい。現代作家の展示においては、専用メガネをかけて鑑賞したり、インタラクティブな要素があるなど、体感しながら楽しめる展示となっている。
    人気が出ては廃れるという変遷を繰り返し続けてきた3D[立体視]。しかし、ものが立体的に見えるという視覚のイリュージョンが惹き起こす魅力に囚われる人がいる限りこの人気は変わらずに続いていくだろう。

最終更新 2011年 2月 10日
 

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