| EN |

川久保ジョイ:Forgotten realms
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 1月 10日

Madron, Conrwall、2009/2010
archival pigment print、300x450mm、Ed.7
画像提供:H.P.FRANCE WINDOW GALLERY
Copyright © Yoi Kawakubo

川久保の作品は英語の” Crisp” という表現が合うように思う。そのまま訳せば「歯切れ良くパリっとした」感じ。しかし同時に「脆い」という意味もある。川久保は撮影を「孤独な行為」と考える。例えば夢の中で夢を見ているのだなと気づく瞬間のように、または誰もいない劇場を見ているときのように。このような形而上学的な感覚が写真を撮り続ける理由と語る川久保の作品は、隅々まで強く明確で、どこまでも脆く儚い。

【作家コメント】
今回の展示では、自然の中における人工物の存在、その組み合わせによる記憶への定着をテーマにしている。
作品の撮影旅行後しばらくして写真を見直していると、時々撮影したことを記憶していないような写真に出会うことがある。それは、遠い記憶を眺めるときのようにいくら眼を細めて対峙しても、どういう心境で撮影したのかを思い出せないのである。まるで、自分が運転中に一時気を失っていて、その間に何かしら考え、感じ、そして車を停めてカメラを構えて撮影した写真のようにそこに存在するのだ。何度見てもそれを撮影している自分を想像できないし、そもそもどこで撮影したのかも思い出せない。しかし、それらの写真を眺めていると、意識の下では何か引っかかるものがあり、遠方からかすかに聞こえるトランペットのコーラスのように何かを訴えるものがある。それは、靴の中に進入してしまった砂粒のように、あるいは自然の風景の中に紛れ込んだ小さな人工物のようにクレッシェンドで意識に占める領域を増していき、気づくと炎のように視界を激しく焚焼し、次第には記憶の網から逃れた火の粉がその網自体を燃焼させて行くように記憶自体を乗っ取ってゆく。
そうして不記憶意識が顕在記憶を吸収する課程の境界線のような写真を今回集めた。

川久保 ジョイ/Yoi Kawakubo
1979 スペイン・トレド市生まれ。18歳まで滞在
2003 筑波大学卒業
2004 大学院を中退
2005 金融業界に就職
2007 退職・作品制作に専念

個展
2011 H.P.FRANCE WINDOW GALLERY MARUNOUCHI、東京
2009 「Between Heaven and Hell」展 新宿眼科画廊, 東京
2008 「明晰夢」展 Punctum ギャラリー, 東京

グループ展
2010 Space Womb「 Air」,ニューヨーク」、新宿眼科画廊 「風景以前」、Radi-um Roengenwerke「 LANDSCHAFT V」、埼玉県立近代美術館 「Memories of Light and Shadow」、佐藤美術館Tagboat DNAT
2009 埼玉県立近代美術館「 12眼レフ展」
2008 埼玉県立近代美術館「 第1回フォト・トルトゥーガ展」

受賞
2009 TAGBOATオータムアワード 2009審査員特別賞(遠山正道選)
2009 TAGBOATサマーアワード 2009 グランプリ
2009 誠文堂新光社「フォトグラフノート展」十文字美信選 準大賞
2009 TAGBOATスプリングアワード 2009 準グランプリ
2007 「第36回 社団法人日本広告写真家協会公募展 APAawards2008」入選
2007 「PhatPhotoフォトジェニックポイントin夕張」夕張市長賞

※全文提供: H.P.FRANCE WINDOW GALLERY


会期: 2011年2月4日(金)-2011年2月24日(木)
会場: H.P.FRANCE WINDOW GALLERY
オープニングレセプション: 2011年2月4日(金)19:00 - 21:00

最終更新 2011年 2月 04日
 

関連情報


| EN |