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ある造形家の足跡 佐藤忠良展
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 11月 29日

《ラップ帽》(正面)1982年:A|画像提供:世田谷美術館

巨匠にして巨匠らしからぬ、恬淡たる制作の日々

宮城県に生まれ、北海道で育った佐藤忠良(1912-)は、1932年、20歳のときに上京し、その後、東京美術学校彫刻科に入学。以来、現在に至るまで 80年近くにわたる歳月を、一貫して具象彫刻の制作に費やしてきました。今日では日本彫刻界の巨匠として広くその名を知られ、全国各地でも多数の作品が日々人々に親しまれています。本展では、そうした彫刻家としての佐藤忠良の足跡を概観しつつも、代表作を並べるだけではなく、この巨匠の知られざる側面や日常の制作の実際にも光を当ててみたいと考えました。たとえば素描や石膏原型などアトリエで生まれる習作や、初期の油彩や水彩、また絵本や挿絵、あるいは美術教科書の仕事などにも触れてみることで、ひとりの造形家・佐藤忠良の長きにわたる思索の経緯や総合的な人間観、芸術観をさぐることができるかもしれません。

佐藤忠良は、1940年から49年まで、大戦を挟んだ動乱期に世田谷に住まい、そこで彫刻家としての人生を本格的にスタートさせました。 1939年に発足した新制作派協会彫刻部の創立メンバーとして、良き仲間にも恵まれ、新しい時代の人間像を作りはじめたのがこの世田谷の地だったのです。しかし終戦直前に応召し、3年間の抑留生活を経て帰国したのは1948年のこと。再び世田谷の地に住まって活動を再開し、以後、1959年には杉並に現在のアトリエを構えて、今日に至っています。

本展では、宮城県美術館の所蔵品を中心に、代表作多数を含むブロンズ彫刻・約80点をはじめ、素描・約70点、絵本・挿絵原画・約70点、および青年期の初期作品や関連資料など、あわせて全約250点を展覧いたします。

※全文提供: 世田谷美術館


会期: 2010年12月23日(木・祝)-2011年3月6日(日)

最終更新 2010年 12月 23日
 

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