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山城知佳子:コロスの唄
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2010年 11月 18日

《聴こえる唄(her)》2010年 | クリスタルペーパー|900x600mm | 画像提供:ユミコ チバ アソシエイツ | Copyright © Chikako Yamashiro

沖縄で生まれ制作を続ける山城 知佳子は、沖縄の地域性、歴史、政治といったテーマに自身との関係性も含んだ作品を映像、写真、パフォーマンスで表現を展開してまいりました。

山城はこれまで、『沖縄・プリズム1872-2008』(東京国立近代美術館、2008年)2009年『アトミック・サンシャイン in 沖縄』(沖縄県立美術館、2009年)『恵比寿映像祭~歌をさがして~』(2010年)などに出品し、そのテーマ性と作品から発せられる強烈なメッセージ性に注目が集まっています。

弊社での初のお披露目となる個展 『コロスの唄』では、東京都写真美術館で同時期に開催される『日本の新進作家展vol.9 [かがやきの瞬間] ニュー・スナップショット』の関連作品の新作を発表いたします。この作品は、捨て去られていく老女の声(記憶)を希求する前作の 『沈む声、紅い息』のテーマを引き継ぎながら、 “聴こえてくる唄” “合唱隊” など新たなイメージを立ち上げた映像と写真による新作です。
*「コロス/Choros」は古代ギリシアの合唱隊を意味しています。

地の底から「プシュプシューッ」と吹き出る彼らの呼吸音を探していた。
海底から地底までの上昇中、声が小さな無数の気泡となって、ようやく地面に辿り着き、弾けた。無数の穴から吹き出している。
あちこちに潜んでいる者たちに輪郭が届けられる。彼らはまだ森の中に、漂いの中に生きている。彼らの声を聴く。
他者の記憶が生暖かい息を残し語り続けている地響きのような残響を、唄を、聴こえてくる声を聴く。

-山城 知佳子 ( 2010年11月)

山城 知佳子
現代美術家、映像作家、映像集団ハイニシムイ代表
1976年 沖縄県生まれ
2005年 第1回倉敷現代アートビエンナーレ・西日本 優秀賞受賞

個展
2008年 バーチャル継承 (ギャラリーラファイエット, 沖縄)
2007年 Garden Talk (KANDADA, 東京)
2005年 Anyway… (ギャラリーラファイエット, 沖縄)
2004年 オキナワTOURIST (前島アートセンター, 沖縄)
2002年 墓庭の女 (前島アートセンター, 沖縄)

グループ展
2010年 
恵比寿映像祭「~歌をさがして~」 (東京都写真美術館, 東京)、貴方を愛するときと憎むとき (沖縄県立博物館・美術館)
2009年 
阪田清子・山城知佳子展―枠の外/状況の中へ (沖縄県立芸術大学付属芸術資料館)、ヒロシマアートドキュメント2009 (被服工場跡地, 広島)、アトミック・サンシャイン in 佐喜眞 (佐喜眞美術館, 沖縄)、アトミック・サンシャイン in 沖縄 (沖縄県立博物館・美術館)
2008年 
沖縄・プリズム1872-2008 (東京国立近代美術館, 東京)、ヒロシマアートドキュメント2008 (旧日本銀行広島支店, 広島)、To-Lo 東京-ロンドン アート エクスチェンジ(The Stephen Lawrence Gallery/イギリス)
2007年 
沖縄県立美術館開館記念展『沖縄文化の軌跡 1872-2007』 (沖縄県立博物館・美術館)、写真0年 (パレット市民ギャラリー, 沖縄)、VOCA展2007 (上野の森美術館, 東京)
2005年 
オキナワ・記憶の道展 (日仏学院, 東京)、第43回岡山芸術祭岡山映画祭2005『えいがのきおく』 (岡山オリエンタル美術館, 岡山)、ブラジル国際フォーラム BORDER (ポーテ・アレグロ現代美術館/ブラジル)、第1回倉敷現代アートビエンナーレ・西日本 (加計美術館, 岡山)
2004年 
アサヒ・アートフェスティバル参加企画-沖縄カフェ (「かなさん」Rice+, 東京)
2003年 
PEACE NEWS (前島アートセンター, 沖縄)
2002年 
墓庭フェスティバル (WANAKIO2002, 沖縄)

山城知佳子ウェブサイト:http://blog.goo.ne.jp/sorashi_a-sa

全文提供: ユミコ チバ アソシエイツ


会期: 2010年12月9日(木)-2011年2月19日(土)※冬期休業 2010年12月26日-2011年1月7日

最終更新 2010年 12月 09日
 

編集部ノート    執筆:田中 みずき


《聴こえる唄(her)》2010年
クリスタルペーパー|900x600mm
画像提供:ユミコ チバ アソシエイツ
Copyright © Chikako Yamashiro

    見つけてしまう怖さというものがある。うす暗い展示空間に並ぶのは、森の地面を写した写真。よく観ると、潜そむものが居る。こちらに背を向けて地を這い、見られていることを知らない様子だ。
    天井から床に投影される映像では、海底から水泡が上る。音と映像と写真が組み合わさって、海や地面といった根源的なものに潜む何者かを発見させられてしまう。近くに気配は感じていたのに目線の合うことが無かったものに、思いを馳せてしまう展覧会。


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