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三菱一号館美術館
ギャラリー
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 12月 22日

Copyright © Mitsubishi Ichigokan Museum, Tokyo
写真:ホンマタカシ

2010年4月、東京・丸の内に明治時代に建設された三菱一号館を再建し開館。近代市民社会、産業社会の原点となる19世紀の近代美術から20世紀初頭の美術を中心に、新たな切り口による企画展を年間3~4回開催している。「都市生活の中心としての美術館」らしく、小さな展示室が1~3階に続く展示空間は都市の中で美術を身近なものにしてくれる。

「三菱一号館」とは、1894年(明治27年)に鹿鳴館を設計したことで知られるイギリス人建築家ジョサイア・コンドル(1852~1920)によって設計された丸の内に初めて誕生したオフィスビルである。全館に19世紀後半のイギリスで流行したクイーン・アン様式を用いた赤煉瓦の外観は、19世紀末の日本の近代化を象徴する建物として、周辺に多くの煉瓦造のオフィスビルを生み出し、その街並みは「一丁倫敦」と呼ばれ親しまれたという。

だが、1968年(昭和43年)、建物は老朽化のため解体される。40年あまりの時を経た2010年4月、コンドルの原設計をもとに同じ地に美術館として復元されたのが「三菱一号館美術館」である。復元に際しては、明治期の設計図や解体実測図の精査、さまざまな文献、写真、保存部材などに関する詳細な調査が実施された。また、保存されていた部材の一部を建物内部に再利用するなど、意匠や部材だけではなく、その製造方法や建築技術まで忠実に再現され、さまざまな実験的取り組みが行われている。

三菱一号館美術館は常設展示室を持たないものの19世紀から20世紀初頭の美術・工芸品の優れたコレクションを多く収蔵している。トゥールーズ=ロートレック(1864〜1901)が没するまで手元で保有した250点あまりのグラフィック作品群を有するモーリス・ジョワイヤン・コレクションや19世紀末版画、ニューヨーク在住のコレクターが「生活のなかのジャポニズム」をテーマに半生をかけて蒐集した美術工芸品群を有するジョン&ミヨコ・ウンノ・デイヴィー・コレクションなどがある。

東京の中心地・丸の内に誕生した新たな美術館は、私たちの都市生活の原点である19世紀末の「都市」の熱気と高揚へと私たちを誘ってくれる場所となることだろう。周辺の美術館やショップ、レストラン・カフェなどともに21世紀の「都市生活」を遊歩する場所として訪れたい美術館の誕生である。


所在地: 東京都千代田区丸の内2-6-2
電話: 03-5777-8600(ハローダイヤル)
開館: [火・土・日・祝]10:00 - 18:00、[水~金]10:00 - 20:00、月曜休館
ウェブサイト: http://mimt.jp


最終更新 2010年 12月 27日
 

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