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木村友紀:無題
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 11月 02日

写真:市川靖史|画像提供:IZU PHOTO MUSEUM

IZU PHOTO MUSEUMでは昨年末の開館以来、写真の多様性をつたえる展覧会を開催してまいりました。写真術の誕生に着想をえた杉本博司「光の自然(じねん)」展、また歴史のなかで見過ごされてきたような日常的な写真にスポットライトをあてた「時の宙づり―生と死のあわいで」展につづき、現代美術作家木村友紀の美術館での初個展を開催いたします。

京都を拠点に活動する木村は、現代美術の文脈の中で写真や映像を素材として扱い、時間やイメージにまつわる分析と思考を平面、立体作品、展示空間へとひろげる作品を発表し続けてきました。第6回イスタンブール・ビエンナーレ(1999年)への参加を皮切りに海外グループ展や主要アートフェアに参加、次世代のアーティストに注目する国内外の評論家・キュレーターを中心に、着実に評価を高めています。

すべて新作となる本展は「無題 Untitled」と名付けられました。このタイトルのとおり、木村はこれまでの活動の中でゆっくりと熟成させてきた、イメージと支持媒体との関係や写真の事後性などについての考察を、ストーリーやキーワードを排し、作品そのものによって、より実践的に表現しようとしています。またそこには中心的なイメージは無く、配置された個々のイメージが生み出す効果の発揮するままに様々な方向へと展開しながら、その空間全体が一つのインスタレーション作品として成立します。
ここで使われている写真は、木村自身が旅行中に撮影したもの、祖父のアルバムの中に見つけたもの、世界各所の様々な街で買い集めたもの、友人から贈られたものなど、別々の経緯で作家の手に渡り、それぞれのテーマに沿って厳選されています。木村は配置という単純な作業を分析的に捉えながらそれを行うことで、写真が指し示す「過去」の画像と画像、あるいは画像とオブジェを関係づけ、現前する空間につなぎとめようとします。そうして、インスタレーション「無題 Untitled」には、今ここにしかない「現在性」が鮮やかに立ち現れるのです。

木村友紀(きむら・ゆき)
1971 年生まれ。京都を拠点に活動する木村友紀は、写真や映像、立体を用いたインスタレーションで国際的な活動を展開。主な最近の個展に、「1940年は月曜日から始まる閏年」タカ・イシイギャラリー(東京 2009年)「POSTERIORITY」大和プレス・ビューイングルーム(広島 2009 年)がある。 2011年、水戸芸術館現代美術センター、国立国際美術館(大阪)での各グループ展に参加予定。

全文提供: IZU PHOTO MUSEUM


会期: 2010年9月5日(日)-2011年1月11日(火)10:00 - 16:30|水曜休館

最終更新 2010年 9月 05日
 

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