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疾走する美術家 2010:田部光子の世界展
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2010年 10月 31日

田部さん画像 後ろの作品「林檎物語 series」180×200cm
画像提供:ワイアートギャラリー

田部光子さんは、九州の美術家たちが1957年「反芸術」「反東京」を旗印に前衛美術運動を行うために結集した「九州派」の旗揚げに参画して以来、50年間、現代美術の第一線で活躍してきた。

この15年は、九州各地と東京、ニューヨーク、ワシントンDC、パリでの個展活動をつづけている。大阪では昨年の個展が好評だったのに引き続き2回目の開催となります。

2005年、栃木県立美術館で開催された「前衛の女性1950-1975」展では、具体美術の田中敦子、山崎つる子、九州派の田部光子たちの作品は、そのパワフルな表現と、活動を続けたその継続する力は、戦後の多くの男性前衛作家たちの活動をしのぐと評された。

本展は・・・・
本展の開催に寄せて、南嶌 宏さん (ベネチア・ビエンナーレ2009 日本館コミッショナー/女子美術大学芸術学部教授)が寄せてくださった文章に「田部光子はそのデヴューに、毒にまみれた魚群(1957年・魚属の怒り)を、あるいは男性中心主義への告発としての人工胎盤(1961年)を、その豊饒なる闇として抱き上げ、表現者としての決意をこの世に問うた。そして、その決意はモティーフが世界のどこにでもある、小さな一個の林檎へと変わっても、揺らぐことはなかった。」 と記されている。

林檎をモチーフにし「たった一つの実在を求めて」と題して描き始めて約半世紀。今回の林檎は、香しい大気に、みずみずしく光を抱いて点在しているかに見える。筆の重さを避け、写真やデジタルの軽みを援用したものをコラージュし、青・黄・緑の背景の上に描かれた林檎や瓶、テーブルたち。画面には怠惰な日常と対峙する表現が様々に仕込まれている。九州派の経験を経て、時代を見据えて格闘する美術を目指し、観念だけの現代美術とは無縁であろうとする実験的精神は77歳の今もとどまることがない。

ギャラリートーク
「美術は、いま最終兵器になりうるのか」田部光子
2010年11月13日 土曜日 15:00から ワイアートギャラリーにて

※全文提供: ワイアートギャラリー


会期: 2010年11月9日(火)-2010年11月21日(日)11:00~19:00(日曜日17:00まで)月曜休廊

最終更新 2010年 11月 09日
 

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